米テクノロジーメディア「Tom’s Guide」が、LG初のDolby FlexConnect対応サウンドバー「Sound Suite H7」の3ヶ月にわたる使用レビューを公開した。CES 2026で発表され、2026年1月中旬に米国で発売された同製品は、空間オーディオの新たなアプローチとして注目を集めている。
LG Sound Suite H7とは何か
Sound Suite H7は、LGのオーディオハードウェアとDolby FlexConnectソフトウェアを組み合わせた新プラットフォーム「LG Sound Suite」の中核をなすサウンドバーだ。FlexConnect技術の最大の特徴は、部屋のどこにでもスピーカーを配置でき、リスニングポジションに合わせて空間オーディオを自動キャリブレーションできる点にある。
従来のサラウンドシステムは設置場所が制限されていたが、FlexConnectはワイヤレスで最大4台のスピーカーとサブウーファーを接続し、物理的な制約を取り払う設計思想を採用している。H7はHDMI eARCポートを持つ任意のテレビと接続でき、LGの2026年モデルTV(C5、G5 OLEDなど)がなくても利用可能だ。
主なスペック
- 価格:$999 / £899
- チャンネル構成:9.1.6
- Dolby Atmos:対応
- 接続:HDMI eARC、Bluetooth、Wi-Fi(AirPlay 2、Google Cast)
- サイズ:47.2 × 2.5 × 5.6インチ
- 重量:約7.7kg
- カラー:ブラック
Tom’s Guideレビューのポイント
Tom’s Guideのレビュアーは3ヶ月の使用を経て、FlexConnect技術そのものの可能性を高く評価しながらも、製品としての完成度にはいくつかの課題を指摘している。
良い点 Tom’s Guideによると、ステレオ再生の音質は「部屋を満たすような」広がりを持ち、Sound Suite M7またはM5スピーカーを組み合わせた場合のDolby Atmos体験は十分に評価できるレベルとのことだ。AirPlay 2とChromecastの両対応というマルチエコシステムへの配慮も好評価を得ている。
気になる点 一方で、レビュアーは以下の課題を明示している。まず、接続面での不安定さが複数回確認された。次に、HDMI パススルー非対応という点は、ゲーム機や映像機器を多数接続するユーザーにとって不便になりえる。そして最大の課題がサブウーファーの別売だ。$999の本体だけでは低音域の伸びが物足りなく、フルシステムを組み上げるには追加費用が大きくかかる。
トータルコストの現実 Tom’s Guideの試算によれば、Sound Suite M5スピーカー($249/台)やM7($399/台)、サブウーファーW7($599)を揃えてフルシステムを構築すると、総額は約$3,200に達する。これはSonos Arc Ultra(約$1,000)+Sub Mini($399)+Era 300×2($758)の組み合わせと同等かそれ以上のコストだ。同メディアは「SamsungのHW-Q990F(サブウーファーとリアスピーカー込みで$1,699前後)と比べると、コスト面での説得力に欠ける」と率直に指摘している。
総合評価として、Tom’s GuideはSonos Arc Ultraと同水準の競合製品と位置づけながら、「価格に見合うパフォーマンスは完全には達成できていない」と結論付けている。
日本市場での注目点
LG Sound Suite H7は現時点で米国・英国向けに発売されており、日本での正式発売日・価格は未発表だ。LGは日本市場でも音響製品を展開しているが、FlexConnect対応モデルの国内投入タイミングは不明のため、並行輸入品($999+送料・関税)での入手が現時点の現実的な選択肢となる。
日本市場では、Sonos Arc Ultra(国内価格12万円台)が直接の競合として存在する。FlexConnect対応スピーカーが国内で流通し始めた段階で、このプラットフォームの真価が問われることになるだろう。
Dolby Atmosの多チャンネル環境を求めるユーザーにとって、既存のAVアンプ+スピーカー構成と比較してどこまでシンプルさと音質を両立できるかが、日本市場での普及を左右するポイントになる。
筆者の見解
FlexConnectという技術コンセプト自体は、「部屋のどこにでもスピーカーを置いて自動最適化」という方向性は明快で、サラウンドシステムの設置障壁を下げるアプローチとして筋が通っている。
ただ、プラットフォームとして普及させるなら、エントリーモデルでの完結性はもっと大切にしてほしかった。$999払って「低音が物足りないのでサブウーファーもどうぞ」という構成は、ユーザーに本体の実力を正しく体験させないまま追加購入を迫ることになる。良いプラットフォームほど、最初の一台で「これだ」と感じさせることが普及の鍵になるはずだ。
Tom’s Guideが指摘する接続面の不安定さも、信頼性が命のホームオーディオ機器としては改善が急務だろう。技術の革新性は本物だと思うだけに、完成度の底上げに期待したい。フルシステムでの体験が本領なのであれば、ファーストインプレッションをもっと大切にした製品構成の見直しを願うばかりだ。
関連製品リンク
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出典: この記事は I tested LG’s first FlexConnect soundbar for 3 months — this could be the future of surround sound の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。
