Ars TechnicaのEric Berger記者が詳報したところによると、Blue Originの超大型ロケット「ニュー・グレン」が2026年5月28日(現地時間)夜、フロリダ州ケープ・カナベラル宇宙軍基地のLC-36A発射台にて静的燃焼試験中に爆発した。同社の歴史上最悪の事故となり、NASAの月面探査計画にも深刻な影響が及ぶ可能性がある。

なぜこの爆発が歴史的な出来事か

Ars Technicaは今回の爆発を「ソビエト連邦のN1ロケットが1969年に破壊されて以来、最も劇的かつ強力なロケット爆発」と表現している。ニュー・グレンは直径7メートルの超大型ロケットで、第1段には7基のBE-4エンジンを搭載。メタン燃料を積んだ機体が点火直後に爆発し、フロリダの海岸線に沿って巨大な火球が発生した映像は、NASASpaceflight.comのライブカメラが捉えた。人的被害はなかったが、Ars Technicaによれば発射施設には広範囲にわたる深刻な損傷が生じているという。

Ars Technicaが伝える事故の詳細

Ars TechnicaのBerger記者の報告によると、問題は第1段エンジン区画から発生したとみられている。具体的な原因はまだ不明で、Blue Origin創業者のJeff Bezosはソーシャルメディアで次のようにコメントした。

「根本原因の特定にはまだ早い段階だが、すでに調査を開始している。非常につらい一日だが、必要なものをすべて再建して、飛行再開に向けて取り組む。それだけの価値がある」 Berger記者はまた、2016年にSpaceXのFalcon 9がSLC-40発射台で爆発した際、復旧に1年以上を要したことも言及している。今回の損傷規模が同等かそれ以上とすれば、相当長期にわたる運用停止を覚悟しなければならない。

絶頂期に起きた最悪の事故

Ars Technicaの記事が特に強調しているのは、このタイミングの悲劇性だ。ニュー・グレンはこれまで3回の打ち上げに成功し、第1段の再使用も4月に初めて達成していた。月次ペースでの打ち上げ体制を構築しようとしていた矢先の事故であり、宇宙産業における「真の有力プレイヤー」としての地位を確立しかけていた段階での後退となった。

NASAのアルテミス計画への影響

Ars Technicaによれば、NASAは今週(2026年5月26日)、Lunar OutpostおよびAstrolabが開発する2台の月面ローバーを2028年に輸送するロケットとして、ニュー・グレンを正式に選定したばかりだった。さらにBlue Originは独自の月面貨物着陸船「Blue Moon Mark 1」も開発しており、NASA主導の月面基地構築計画において欠かせない存在になりつつあった。

今回の爆発により、これら月面ミッションのスケジュール全体が見直しを迫られる可能性が高い。

日本市場での注目点

ニュー・グレンは日本での一般販売製品ではないが、宇宙ビジネスの観点から日本企業への影響は無視できない。Blue Originは商業打ち上げサービスも提供しており、日本の衛星事業者や宇宙関連スタートアップにとって選択肢の一つになっていた。今回の事故により、少なくとも2027年以降まで商業打ち上げ枠の確保は困難になると見られる。

また、JAXAが関与するアルテミス計画の月面ミッションスケジュールへの波及も注視が必要だ。

筆者の見解

ロケット開発が本質的にリスクを内包するプロジェクトであることは、宇宙開発の歴史が示している。ニュー・グレンは3度の飛行と第1段再使用という実績を着実に積み上げており、技術力そのものは本物だ。それだけに、今回の事故は非常にもったいない。

より問題なのは、NASAのアルテミス計画という国家レベルの月面プログラムと深く連動している点だ。2028年の月面ローバー輸送という具体的なミッションを担う状況で、主要ロケットがこれだけの損傷を受けた場合、計画全体のバッファはほぼ消滅する。代替手段の検討をNASAが迫られるのは避けられないだろう。

一方で、Bezos氏が即座に「再建して飛行再開を目指す」と表明したことは、組織としての意志の強さを示している。原因究明を徹底した上で、安全性を最優先にした迅速な復活を果たしてほしい。今後の調査結果と復旧スケジュールの公表に注目したい。


出典: この記事は The most spectacular rocket explosion since N1 just happened in Florida の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。