Ars TechnicaのScharon Harding氏が2026年5月27日に報じたところによると、Rokuはスマートテレビ向けOS「Roku OS」を10年ぶりに大規模刷新した。新UIで最も物議を醸しているのが、電源を入れた瞬間から画面に常時表示される大型広告枠の導入だ。

Roku OSの新ホーム画面:何が変わったか

従来のRoku OSホーム画面は、左側のサイドバーメニュー(「What to Watch」「Live」「Search」など)と右側のアプリタイル群で構成されていた。広告は操作を始めた後に表示される仕様だったが、新UIでは電源投入と同時に大型広告が出現し、ナビゲーション中も消えることなく画面の一定スペースを占有し続ける。

ArsTechnicaの報道によると、この広告枠にはApple TV+の『テッド・ラッソ』など番組プロモーションが表示されることもあれば、ペットフードブランド「The Farmer’s Dog」のような無関係な広告が入ることもあるという。RokuのVP、Preston Smalley氏はCNETの取材に「有料広告とプログラム広告の比率は固定されておらず変動しうる」と述べている。

機能面での変更点は他にもある。左サイドバーがテキストから画像アイコン型に変わり、中央には「Top Picks for You」(AIによる個人化レコメンド)と「Quick Access」(使用頻度に基づきAIが自動配置するアプリショートカット)が新設された。また、コメディ・スポーツ・映画など気分やジャンルで複数サービスのコンテンツをまとめた「Destinations」ハブも追加されている。

なぜこの刷新が注目されるか

背景にはRokuの収益構造がある。Rokuはパンデミック特需で2021年に初の通期黒字を達成したが、その後再び低迷し、2025年に2度目の黒字化。直近決算では広告収益が3億7100万ドルに達し、プラットフォーム事業(広告+サブスク)の粗利は5億8410万ドルに上る。一方でデバイス事業は1910万ドルの赤字だ。CEO Anthony Wood氏は2月の決算説明会で「新ホーム画面はサブスク契約や広告視聴を促進し、収益化を高める」と明言していた。

海外レビューのポイント

Ars Technicaの報道では、ユーザーの反発が強いことが明確に伝えられている。「レコメンドなんていらない!見たいものは自分でわかってる」というコメントは記事のリード文に引用されるほどだ。

評価できる点:

  • 「Quick Access」はアプリ探しのスクロール負担を軽減する実用的な改善
  • 「Destinations」ハブは複数サービスをまたいだコンテンツ探索を効率化
  • 個人化レコメンドの精度向上

懸念される点:

  • 起動直後から常時表示される広告はユーザー体験を著しく損なう
  • 番組プロモーションか無関係な商品広告かが流動的で予測不能
  • アプリタイルの表示領域が広告に圧迫される

日本市場での注目点

Rokuのストリーミングスティック等のデバイスは日本では正式販売されていないが、Roku OSを採用したTCLやHisenseのスマートテレビは国内でも販売されており、今回のOS更新はそれらの機器にも波及する可能性がある。

国内で主流のGoogle TV搭載テレビやFire TV(Amazon)も広告を表示するが、Rokuほど画面占有率の高い常時表示型ではない。SmartTV OSのマネタイズ競争が激化するなか、今回の判断が業界全体のトレンドを左右するかが注目される。

筆者の見解

Rokuの今回の刷新は、「安価なハードウェアをプラットフォーム広告で支える」ビジネスモデルが抱える構造的な限界を改めて可視化した出来事だ。モデル自体は理にかなっているが、ユーザーが許容できるバランスを超えた瞬間に信頼を失う。常時表示の大型広告はそのラインを越えるリスクがある。

AIを活用した「Quick Access」や「Destinations」のような機能は操作効率を高める方向に働いており、評価できる。問題は、こうした実用的な改善がユーザーに伝わる前に「邪魔な広告」の印象が先行してしまう設計になっている点だ。

スマートテレビを選ぶ際には、スペックや価格だけでなく「どのOSエコシステムに乗るか」「そのプラットフォームの長期的な収益モデルは何か」まで考慮すべき時代になった。今回のRokuの判断は、その問いを改めて突きつけている。


出典: この記事は Roku OS’s home screen now features a large, permanent ad の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。