PC Watchの宇都宮充氏が2026年5月27日に報じたところによると、中国・砺算科技(Lisuan Tech)が5月22日に発売した自社製ビデオカード「LX 7G100」が、わずか48時間で予約件数3万台超えを記録した。初回出荷分となる「创始版(Founders Edition)」1,000台はすでに完売しており、第2弾の販売は6月18日を予定しているという。

LX 7G100の技術仕様

LX 7G100は、砺算科技が独自開発した「TrueGPUアーキテクチャ」と「AI Powered GPU」技術を採用したビデオカードだ。主な仕様は以下のとおり。

項目 仕様

メモリ 12GB GDDR6

映像出力 DisplayPort 1.4a ×4(8K/60Hz対応)

API対応 DirectX 12 / Vulkan 1.3 / OpenGL 4.6 / OpenCL 3.0

超解像技術 NRSS(独自実装)

対応用途はゲーミング・コンテンツ制作・AI処理と幅広く、NVIDIAのDLSSやAMDのFSRに相当する独自の超解像技術「NRSS」も搭載している点が目を引く。

なぜこの製品が注目されるのか

中国国産GPUがここまで市場の注目を集めたこと自体が、ひとつの歴史的な出来事といえる。

NVIDIAへの輸出規制強化という逆境の中、中国は自国GPU産業の育成を急ピッチで進めてきた。砺算科技はその流れから登場した新興企業だが、予約3万台超えという数字は、中国国内における「国産GPU待望論」が本物の需要へ転換しつつあることを示している。

TrueGPUアーキテクチャの詳細な内部仕様はまだ明らかにされていない部分が多い。しかし、DirectX 12やVulkan 1.3という業界標準APIへの対応と、DisplayPort 1.4a 4ポートによる8K出力対応という構成は、ゲーミングからプロ用途まで幅広く訴求しようとする意図が読み取れる。

日本市場での注目点

現時点でLX 7G100の日本向け正式発売は発表されていない。中国国内を主戦場とした展開であり、日本での正規入手は困難な状況だ。

価格についても公式情報が限られており、PC Watchの報道でも具体的な数字は明記されていない。NVIDIA GeForce RTX 50シリーズやAMD Radeon RX 9000シリーズとの性能比較は、出荷後の独立したベンチマークレビューを待つ必要がある。

AI処理用途を明示的に謳っている点は注視したい。H100/H200の輸出規制が継続する中、中国国内のAI推論・学習インフラを自国GPUで賄う動きは今後も加速するとみられ、そのロードマップ上にLX 7G100が位置づけられている可能性がある。

筆者の見解

「48時間で3万台予約」という数字をどう読むべきか。

率直に言えば、予約数は市場の期待を示す指標であって、実際の性能・安定性・ドライバの完成度を保証するものではない。TrueGPUアーキテクチャが既存のゲームタイトルやAIワークロードでどれほど実用的に動作するかは、出荷後の実機レビューが出るまで判断できない。Founders Edition 1,000台という限定規模もあり、広範な実使用データが集まるにはまだ時間がかかる。

それでも、この動きが持つ意味は小さくない。「中国がGPUを自前で作れる段階に入った」という事実は、グローバルなGPU市場の長期的な構造変化を示唆している。AIインフラのコモディティ化という大きなトレンドの中で、中国製GPUの実力が問われる局面は遠からず来るだろう。

日本のエンジニアやAI開発者にとって今すぐ選択肢に入る製品ではないが、このような動向を定点観測しておくことには意味がある。競争が激化すれば、GPU全体の価格・性能比の底上げにつながる可能性もあるからだ。


出典: この記事は 【やじうまPC Watch】中国製GPU「LX 7G100」、48時間で予約が3万台超え。初回分1,000台は完売 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。