Withingsは2026年1月のCES 2026において、スマートスケールの新世代モデル「Body Scan 2」を発表した。ガジェット系メディア「Gadgets & Wearables」のMarko Maslakovic氏が詳細を報じており、90秒の計測で60以上のバイオマーカーを取得できる点が最大の特徴だ。FDA承認取得後、2026年第2四半期の発売を予定しており、価格は600ドル(約9万円前後)とされている。
なぜこの製品が注目か
スマートスケール市場はすでに成熟しているが、Body Scan 2はその枠を大きく超えている。一般的なスマートスケールが体重・体脂肪率・BMIを計測する程度に留まるのに対し、本機は心臓の電気的・機械的特性、血管の弾力性、細胞年齢、糖代謝の早期変化まで非侵襲的に把握しようとする。これはウェアラブルデバイスや診断機器の領域に踏み込んだ、異例の挑戦だ。
「ロンジェビティ(健康寿命)ステーション」というWithings自身の表現が示すように、日々の体重管理ではなく、慢性疾患の予防・早期発見にフォーカスを移した設計思想が根底にある。
海外レビューのポイント:5つのセンシング技術の組み合わせ
Maslakovic氏のレビューによると、Body Scan 2は以下の5つの医療グレード技術を組み合わせている。
インピーダンス心拍計(ICG)と6リードECG 今世代の最大の新機能が心拍出量の計測だ。心臓が臓器に血液をどれだけ効率よく送り出しているかを測定し、慢性的な疲労や運動耐性低下の早期サインを検知する。これに加え、心拍リズムの監視と心房細動の検知を目的とした6リードECGも内蔵する。心年齢と心臓反応性も算出され、機械的・電気的両面の心臓評価が1台でできる点は、同カテゴリのデバイスにはない特徴だ。
カフなしの高血圧リスク通知 臨床検証済みのAIモデルを使い、各スキャンから血圧傾向を推定する。Maslakovic氏は「最も見落とされやすい健康リスクの一つに対する早期警告」と評価しており、血圧計を別途用意しなくてよい手軽さを指摘している。
超高周波バイオインピーダンス分光法 細胞年齢・活動細胞量・代謝効率を推定する機能で、今世代の目玉の一つ。通常の臨床検査では検出できない段階の代謝低下や低グレード炎症を早期に捉えることを目指している。
血液採取なしの血糖代謝モニタリング 足裏の電気応答と汗腺活動を測定することで、グルコース処理の変化を検知する。Withingsによれば「血液サンプルも追加アクセサリも不要」とのことで、糖尿病前症のリスクを早期に把握できる可能性があるとしている。
Health Trajectoryスコア 大量のデータをユーザーが処理しやすいよう、個人ベースラインに基づく「健康の軌跡スコア」として一本化して提示する。WhOOP、Garmin、一部のスマートリングも類似の総合スコアを持つが、Body Scan 2はスケールという利用文脈の中でより詳細な生体データを提供する点で差別化される。
日本市場での注目点
価格と入手方法 600ドルという価格は、Withings製品としては最上位クラス。日本での正規発売については現時点で詳細な情報がないが、前モデルのBody Scanは日本のAmazonや正規代理店経由で入手可能だった。FDA承認取得が条件となるため、日本での薬機法対応も含めた正規展開には時間がかかる可能性が高い。
競合との比較 国内で入手しやすい競合としては、withingsの旧モデルBody Scan(3万円台〜)のほか、タニタの業務用体組成計シリーズ、OmronのVital Scanなどがある。ただし、6リードECGとインピーダンス心拍計を組み合わせた製品は現状ほとんど存在せず、その意味でBody Scan 2は独自の立ち位置を持つ。
医療グレード vs. 民生品の線引き 日本では医療機器の認証が厳格なため、ECGや血圧推定機能を「医療目的」として訴求する場合は薬機法の対象になる可能性がある。正規展開される際には、日本仕様として一部機能が制限されるケースも考えておきたい。
筆者の見解
60以上のバイオマーカーを90秒で取得するというコンセプトは、健康データの民主化という意味で間違いなく興味深い。これまでの心臓ドック・人間ドックが「年1回、医療機関で、高コストで」だったのに対し、「毎朝、自宅で、非侵襲的に」という体験に変えようとする試みは方向性として正しい。
一方、600ドルという価格は多くのユーザーにとってハードルが高く、日常的な健康管理ツールとして普及するかどうかは別の問題だ。加えて、FDA承認前の段階では医療的な判断の根拠として使える保証はなく、「気になる数値が出たが、どうすればいいか分からない」という消費者を増やすリスクもある。データが増えれば増えるほど、それを解釈・活用する仕組みがセットで必要になる。
Withingsが「ロンジェビティステーション」と定義するように、このデバイスの真価はスポットの計測ではなく、長期的なトレンドデータの蓄積にある。それが実際にユーザーの行動変容や医療機関との連携につながるかどうか——そこが、高価格帯ヘルスデバイス全般に突きつけられた課題だ。
関連製品リンク
Withings Body Cardio WBS04-BLACK-ALL-ASIA Smart Body Scale
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出典: この記事は Withings Body Scan 2 tracks 60 biomarkers with a focus on longevity の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。
