米テクノロジーメディアTom’s GuideのManaging Editor、Jason England氏が、2026年6月2日〜5日に台北で開催されるComputex 2026の見どころを詳細に解説した事前予測記事を公開した。同氏は「これまでで最大かつ最も重要なComputex」と表現しており、コンシューマー向けコンピューティングが複数の課題を抱えるタイミングで開催されることから、業界の転換点となる可能性が高いとしている。

MacBook Neoショックと、Windowsの反撃

Tom’s GuideのEngland氏が筆頭に挙げた注目テーマが、MacBook Neoへの業界の反応だ。「安価なノートPCがプラスチック筐体・粗悪なディスプレイ・スカスカなキーボードである必要はないことをAppleが証明した」と氏は記している。MacBook Neoは低価格帯でもMacBook Proと比較検討できるレベルのクオリティを実現しており、他のWindowsラップトップメーカーは「完全に不意打ちを食らった」と同氏の複数のソース筋が語っているという。Computex 2026ではこのショックを受けたWindowsメーカー各社が「反撃製品」を投入してくるかどうかが最大の見どころの一つになる見込みだ。

Nvidia N1XとRAMageddon問題

もう一つの注目株がNvidia N1Xだ。詳細はまだ明かされていないが、Windows on ARM向けの次世代アーキテクチャとして期待が高まっている。

あわせて業界全体が直面している課題として、England氏は「RAMageddon」——メモリ価格の急騰——を挙げている。「各社にはデータセンター向け製品の話を減らし、RAMageddonの逆風の中でも最大のコストパフォーマンスを実現したコンシューマー向け製品を正面から語ってほしい」と述べており、今年のComputexにおける価格・価値比の訴求が例年以上に重要な評価軸になるとしている。

Intelの次世代ゲーミングハンドヘルド

IntelもComputexで次世代ゲーミングハンドヘルド向けの何らかの発表を行う見込みだと同記事は示唆している。Steam DeckやROG Allyなどで注目を集めるゲーミングハンドヘルド市場において、Intelの次世代プロセッサーがどのような性能・消費電力特性を持つかは、このカテゴリの今後の勢力図を左右する情報となりそうだ。

「実際に役立つAI」が今年の最重要テーマ

Computex 2026の公式テーマは「AI together」。England氏は「過去2年と同様にAIという言葉が飛び交うだろうが、私たちが見たいのはハードウェアに無理やり詰め込まれたAIではなく、本当に役立つ、思慮深い実装だ」と明言している。Tom’s GuideチームはValue(価値)・Actually useful AI(実際に役立つAI)・Fascination(革新性)の3基準で製品を評価し、Best of Computex賞を選出する方針だという。

日本市場での注目点

Computex 2026での発表は例年、同年秋〜年末にかけて日本市場に投入される製品の先行情報となる。特に以下の点が国内でも重要になりそうだ。

  • Windowsノートの価格競争力回復:MacBook Neoの価格帯に対抗できるWindowsノートが登場するか。円安が続く日本市場では、コスパの訴求が購入判断に直結する
  • ゲーミングハンドヘルドの多様化:ASUS ROG AllyやLenovo Legion Goがすでに普及し始めているカテゴリで、Intel新世代チップがどのような選択肢をもたらすか
  • AI PC機能の実用化水準:Copilot+ PC対応を謳う製品が増える中、「詰め込み型AI」ではない実際の使い勝手がどこまで向上しているかが問われる

筆者の見解

今年のComputex 2026が「最も重要」と言われる背景には、MacBook Neoという想定外の方向からの価格破壊によって、Windowsエコシステム全体の存在意義が問い直されているという構造がある。Windowsメーカーには本来、素材・設計・製造いずれも高水準の製品を作る実力がある。それをコスト競争から逃げるのではなく、正面から価値で応える形で見せてほしい。

AI実装については、England氏の「詰め込み型AI反対」というスタンスは至極まっとうだ。「AI together」というスローガンのもと、どれだけ「日々の作業を本当に楽にするAI」が登場するかがComputex 2026の最重要採点ポイントになるだろう。ハードウェアにNPUを載せるだけでは意味がない。エージェントが自律的にタスクをこなし、ユーザーの認知負荷を削減する設計が実現されているかどうか——その観点で、Tom’s Guideの現地レポートを追いかけていきたい。


出典: この記事は What to expect at Computex 2026: Nvidia N1X, Intel’s next-gen gaming handhelds, and an industry’s fightback against RAMageddon の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。