Microsoft Teamsのビデオ会議機能「Together Mode(トゥギャザーモード)」が廃止されることが明らかになった。The Verge のウィークエンドエディター Terrence O’Brien 氏が2026年5月17日に報じた。
Together Mode とはどんな機能だったのか
Together Mode は、新型コロナウイルスのパンデミックが本格化した2020年にMicrosoftがTeamsに追加したビデオ会議機能だ。AIを用いて参加者の頭部と肩をリアルタイムで切り抜き、全員が同一の仮想空間(カフェ、講堂、会議室など選択可能なシーン)に集まっているように見せるという演出機能である。
「自宅でパンツもはかずに座っているのに、同じ会議室にいるような雰囲気を演出できる」——The Verge の記事はこの機能をそう表現している。肩を叩いたりバーチャルハイタッチをする演出も備えており、リモートワーク期の孤立感を和らげるチームビルディングツールとして活用する企業も一定数あった。
なぜ今廃止されるのか
Microsoftが挙げる廃止理由は主に3点だ。
1. プラットフォーム間のフラグメンテーション削減 デスクトップ・モバイル・Webと複数環境にまたがる機能の一貫性を高めるため、共通化できない機能を整理する。
2. インターフェースの簡素化 クリック数を減らし、選択肢による混乱を省いたシンプルなUIへ移行する。
3. 動画品質・安定性・パフォーマンスへの集中 Together Mode に割いていた開発リソースを、会議の基本品質向上に再投資する。
The Verge の報道によれば、廃止は段階的に展開される。対象ユーザーのTeamsのビューメニューから「Together Mode」のトグルが順次消え、シーン選択や座席割り当てといったTogether Mode 固有の機能も同時に廃止される予定だという。
海外レビューのポイント
The Verge の Terrence O’Brien 氏は、今回の廃止についてMicrosoftが「ギミックではなく動画品質とパフォーマンスの改善に注力したい」という明確な意図を示した点を強調している。
O’Brien 氏の評価では、Together Mode は「視覚的な散漫さを抑える効果は確かにあった」としながらも、「ギミック感が否めない機能でもあった」と指摘。パンデミック期には一定の需要と話題性があったものの、現在のリモートワーク環境では演出よりも映像・音声の安定性が優先されるという市場の変化が廃止の背景にあると読み解いている。
日本市場での注目点
日本においてTeamsは、大手企業から中小企業、教育機関まで広く導入されているビデオ会議プラットフォームだ。M365との統合という強みを軸に、法人市場では圧倒的なシェアを持っている。
Together Mode を研修・授業・オンラインイベントに活用していた組織は代替手法の検討が必要になるが、日本企業の多くはTogether Mode をあまり常用していなかったとみられ、実務への影響は限定的だろう。
むしろ注目すべきは、廃止によって浮いた開発リソースが動画品質・安定性の改善に向かう点だ。大規模会議や長時間会議における映像の乱れや接続の不安定さは日本の法人ユーザーが長年抱えてきた課題であり、ここへの投資集中は歓迎される可能性が高い。
筆者の見解
Together Mode はパンデミックという特殊な時代に生まれた、時代なりのアイデアだったと思う。全員がバラバラの場所にいながら「同じ空間にいる」という感覚を演出しようとした発想は面白かったし、当時の需要に応えるものでもあった。
廃止の理由のひとつに「プラットフォーム間のフラグメンテーション削減」が挙げられている点は少し気になる。一度作った機能を磨いて一貫性を持たせるのではなく、廃止で対応するという判断だからだ。TeamsにはM365との深い統合というZoomやGoogle Meetにはない強みがある。その強みを活かした会議体験の差別化という観点からすれば、もう少し磨き込んでほしかったという気持ちも正直ある。
とはいえ、動画品質・安定性の向上に注力するという方向性自体は正しい。基本が強ければ、その上に何でも乗せられる。Together Mode の終幕が、Teamsが本来持っている実力を正面から発揮するための転換点になることを期待したい。
出典: この記事は Microsoft is retiring Teams’ Together Mode の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。