Microsoftは、Azure上の旧世代VM(仮想マシン)系列を対象としたReserved VM Instances(リザーブドインスタンス)の新規購入および更新を、2026年7月1日をもって終了すると発表した。Av2・Bv1・Dv2・Fsv2・Gシリーズなどのレガシー系列を予約割引で利用している企業は、移行計画を早急に立てる必要がある。
廃止されるVM系列と影響範囲
今回の廃止対象となる主なVM系列は以下の通りだ。
- Av2シリーズ(汎用、旧世代)
- Bv1シリーズ(バースト可能)
- Dv2 / Dsv2シリーズ(汎用)
- Dv3 / Dsv3シリーズ(汎用)
- Fsv2シリーズ(コンピューティング最適化)
- Gシリーズ(メモリ・ストレージ最適化)
2026年7月1日以降、これらの系列に対するReserved VM Instancesの新規購入と既存予約の更新が停止される。ただし、すでに購入済みの予約は契約期間終了まで継続して有効となるため、即座にすべての割引が失われるわけではない。
移行先として推奨される最新VM系列
Microsoftが推奨する移行先は、最新世代のVM系列だ。
旧系列 推奨移行先
Dv2 / Dv3 Dv5 / Dsv5シリーズ
Bv1 Bsv2シリーズ
Fsv2 Fasv6 / Falsv6シリーズ
Gシリーズ Mv3シリーズ
最新世代のVMは旧世代と比較してコストパフォーマンスが大幅に向上しており、同等またはそれ以上のスペックをより低いコストで提供できるケースも多い。特にDv5・Ev5系列はIntelの第3世代もしくはAMD EPYCプロセッサを採用し、ネットワーク帯域やストレージスループットでも世代間の差は顕著だ。
実務への影響:日本のエンジニア・IT管理者が今やるべきこと
1. 現在のリザーブドインスタンス棚卸し
Azureポータルの「予約」ブレード、またはAzure Cost Management + Billingから、対象VM系列のReserved Instancesを確認しよう。有効期限と系列名を一覧化し、7月1日以前に期限切れを迎えるものを優先的に対応する。
2. 更新前に移行を完了させる
既存の予約が2026年7月1日以降に満了する場合、更新が不可能になるため、期限到来前に新世代VMへのリソース移行と新規予約の購入を完了させる計画が必要だ。
3. Azure Migrate・Azure Advisorを活用する
Azure Advisorは旧世代VMに対して自動的に移行提案を出すことがある。Azure Migrateを使えば、依存関係のマッピングや移行後のコスト見積もりも自動化できる。これらを活用して影響範囲と工数を早めに把握しよう。
4. Savings Planとの使い分けを検討
Reserved VM Instancesは特定のVM系列・リージョンに縛られるが、Azure Savings Planはより柔軟に適用できる。今後も頻繁にVMサイズを変更する予定があるなら、Savings Planへの切り替えも選択肢の一つだ。
筆者の見解
Azureを長く使っていると、こうしたVM世代交代のアナウンスは定期的に届く。2026年7月という期日は一見余裕があるように見えるが、本番環境のVM移行は検証・承認・メンテナンスウィンドウの確保など多くのステップが必要で、実際に動き出してみると時間はあっという間に過ぎる。
正直なところ、レガシーVM系列を今も使い続けている企業の中には、「動いているから触らない」という判断でここまで来たケースも少なくないだろう。だが今回のようなReserved Instancesの廃止は、コスト最適化の恩恵が受けられなくなるだけでなく、将来的なVM系列廃止の予告でもある。Azureはこういったアナウンスを段階的に行う傾向があり、今動いている計算機が突然使えなくなるわけではないが、「標準的で再現性のある構成」を維持するためにも、推奨世代のVMに揃えておくのが正しい道だ。
Microsoftのプラットフォームとしての信頼性は揺るがない。だからこそ、Azureが用意している移行パスを素直に使い、最新世代の恩恵を受けながら運用を安定させることが、今のIT現場に求められる判断だと思う。「後で対応すればいい」が一番危ない。
出典: この記事は Azure Reserved VM Instances for legacy VM series to be discontinued from July 1, 2026 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。