SonyがXperia 1 XIIIに搭載した「AI Camera Assistant」が公開直後から批判を集め、同社は機能の仕組みを改めて説明する事態になった。しかし新たに投稿されたサンプル写真も品質面の課題を抱えており、議論は収まっていない。

AI Camera Assistantの仕組み

AI Camera Assistantは、カメラが捉えた被写体・ライティング・被写界深度を分析し、露出・色調・背景ぼかしの調整案を4択で提示する機能だ。Sonyが強調するのは「写真を自動編集するのではなく、あくまでも提案を行う」という点で、最終的な選択はユーザーに委ねられる。

製品動画では「最も映える角度を提案する」機能も紹介されているが、実際に示されているのは「ズームインする」という提案のみ。構図そのものを変える提案とは異なり、説明と内容の間にギャップがある。

サンプル写真が示す現実

5月14日にSonyがXへ投稿した最初のサンプルは、白飛びや露出オーバーが顕著で広く批判された。翌日に投稿し直したサンプルは幾分改善されたものの、4択のいずれもオリジナルより劣る結果となっている。

  • 提案1: 彩度が過剰で不自然な仕上がり
  • 提案2: フラットで処理過多な印象
  • 提案3: 料理が合成写真のように浮いて見える
  • 提案4: コントラストが極端に高すぎる

The Vergeの評価は「現時点ではAI Camera Assistantの提案は無視するのが最善」というものだ。

実務への影響

スマートフォンカメラのAI機能は、各社が競う主要な差別化要素になっている。日本市場では特にXperiaシリーズが「カメラ品質重視層」から支持されてきた歴史がある。AI Camera Assistantが実際の写真体験を向上させるかどうかは、今後のソフトウェアアップデートにかかっているといえる。

UI設計の観点でも興味深い事例だ。「4択を提示してユーザーに選ばせる」設計は、一見ユーザーコントロールを重視しているように見える。しかし提案の品質が低い場合、ユーザーはオリジナルと4択を毎回比較するという余計な判断コストを負うことになる。

筆者の見解

AIを冠した機能が登場するたびに自分が問うのは、「この機能は実際にユーザーの課題を解決しているか」という一点だ。

AI Camera Assistantの設計思想——提案してユーザーが選ぶ——は、一つの合理的なアプローチではある。しかし提案の品質が伴わなければ、認知負荷を下げるどころか増やす本末転倒の構造になってしまう。今回のサンプルはまさにその状態だ。

Sonyには世界トップクラスの光学技術とイメージセンサー技術がある。その強固な基盤の上にAIを乗せるのであれば、「AI搭載」の訴求より前に、使って良かったと感じられる体験品質を確立してほしい。リリース後にSNSで説明対応に追われる状況は、本来であれば発売前のQAプロセスで解消されているべきものだ。

AI機能の真価は「搭載しているか」ではなく「使って本当に良くなるか」で決まる。今後のアップデートで、この機能が実力を発揮してくれることを期待している。


出典: この記事は Sony tries to explain that its AI Camera Assistant doesn’t suck の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。