Microsoftは2026年5月14日、Windows 11においてタスクバーの位置変更(下部または左側)と縮小表示機能をWindows Insiderプログラムのテスターに提供開始した。同社はスタートメニューのサイズ変更やセクション非表示機能も開発中であり、Windows部門トップのPavan Davuluri氏は「パーソナライズとカスタマイズはWindowsのDNAにある」と宣言している。
Windows 11が「カスタマイズ」を取り戻す背景
Windows 11は2021年10月のリリース以来、ユーザーから根強い不満を受け続けてきた。タスクバーを移動できない、スタートメニューのサイズを変更できない、Recommendedフィードを非表示にできない——こうした「できて当然の操作」が封印されたまま約5年が経過した。
ソーシャルメディアでは「Microslop(マイクロスロップ)」という皮肉なハッシュタグが広まり、Windowsへの失望感が可視化された。これを受け、Satya Nadella CEOを含む経営陣が「Windowsファンを取り戻す」と公言。2026年3月にはWindows 11の品質向上を公式にコミットし、ようやく具体的な改善が動き出した。
今回提供される主な変更点
タスクバーの移動・縮小
Insider Preview向けに展開が始まったのは、以下の2機能だ。
- タスクバーの位置変更: 従来の下部固定から左側への移動が可能になった。左側配置時は縦型タスクバーとなり、ワイドスクリーン環境での縦方向の作業領域を広げる効果がある
- タスクバーの縮小表示: アイコンサイズを小さくすることで、特に左側配置時に画面を有効活用できる
ただし現時点では、左側移動時にスタートボタンやアイコンの整列がずれる、通知が新しい位置に追従しないといったバグが確認されている。Microsoftは一般公開前にこれらを修正する予定としている。
スタートメニューのカスタマイズ
スタートメニューにも大きな変化が来る。
- サイズ変更: 「小」「大」の2段階から選択可能(今後さらに細かい選択肢も検討中)
- セクションの非表示: アプリ一覧やおすすめ表示など、不要なセクションを個別にオフにできるようになる
なお、Windows 10では標準だったスタートメニューのドラッグによるリサイズは廃止されたままで、今回は固定プリセットによる切り替えとなる。
実務への影響
エンジニアやIT管理者の観点では、これらの変更は主にユーザー生産性の向上とヘルプデスク負荷の軽減に貢献しうる。
マルチモニター環境や縦長ディスプレイを使うユーザーには、タスクバーの左側配置は実用的な変更だ。縦型タスクバーはコーディングや文書作成で縦スクロール量を減らす効果もあり、特に開発者には受け入れられやすい。
一般公開のタイミングはバグ修正の進捗次第だが、組織内にWindows Insiderプログラムに参加できる検証環境があれば、展開前のフィードバック収集に活用する好機でもある。グループポリシーでInsiderチャンネルを制御している場合は、Beta チャンネルへの一時的な切り替えも検討に値する。
筆者の見解
率直に言えば、「なぜ2021年に削除したのか」という疑問は今も残る。タスクバーの移動やスタートメニューのサイズ変更は、Windows 10時代には当然できた操作だった。それを削除したのはMicrosoft自身であり、ユーザーは5年近くその不便さと付き合い続けてきた。
とはいえ、今回の動きは正しい方向だ。「ユーザーが求めているものに耳を傾けて元に戻す」という判断は、決して簡単ではない。Davuluri氏の「フィードバックを読み、Windows Insiderと会い続けた」という言葉が、今回のように具体的な機能として結実したのは評価できる。
ただ、OSの差別化がアプリケーション層やAIサービス層に移っていく中で、「タスクバーの位置を変えられる」というUI改善がどこまでWindowsの競争力に直結するかは正直なところ疑問が残る。それでも、ユーザーの声を無視してAI機能を押し込む路線から、基本的な使いやすさを取り戻す路線へ転換した点は、Microsoftが本来持っている「ものを作る力」を思い出しつつあるシグナルとして受け取りたい。Copilotの話は一旦置いておいて、こういう地道な改善の積み重ねがWindowsへの信頼を少しずつ回復させていくはずだ。
出典: この記事は Microsoft admits customization is in Windows’ DNA, promises new Windows 11 controls の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。