Microsoftは2026年6月中旬から7月末にかけて、SharePointのユーザーインターフェースを大幅に刷新した「新SharePointエクスペリエンス」を段階的に展開する。アプリバーの全面再設計と開始ページの刷新が目玉で、AIを活用したコンテンツ作成支援機能も同時に提供される。
新アプリバーの構成:5つのアイコンで業務を整理
新しいSharePointアプリバーには、左端から以下の5つのアイコンが並ぶ。
- 組織のホームサイト:グローバルナビゲーションが設定されている場合のみ表示。イントラネットのトップページへのクイックアクセスとして機能する
- Discover:自分に関連するサイト・コンテンツ・ニュースをパーソナライズして表示するビュー
- Publish:組織全体に向けたコミュニケーションやページを作成・共有するための拠点
- Build:サイト・リスト・ドキュメントライブラリ・エージェントを作成・管理する場所
- OneDrive:個人ファイルへのクイックアクセス
現行のアプリバーと比べると、機能ごとの役割分担が明確になっている。特に「Publish」と「Build」の分離は、コンテンツを公開する人と、基盤を構築・管理するIT担当者の役割の違いを UI レベルで整理した設計と言える。
AI支援機能:自然言語でグラフ作成、Copilot引用の可視化
今回のリニューアルと同時期に展開される AI 関連機能として、以下の2点が注目される。
AIチャートWebパーツ
SharePointページ上で、自然言語の指示からインタラクティブなグラフを生成できる新Webパーツが追加される。データを別ツールに持ち出してグラフ化する手間なく、ページ内で完結できる。
AI Citations Analytics(AI引用分析)
組織内のどのSharePointドキュメントが、Copilotの回答に引用されているかを可視化する機能。「どのドキュメントが実際に使われているか」「古い情報が引用されていないか」を把握するための管理者向けツールとして機能する。
なお、AI支援による作成機能の一部はCopilotプレミアムライセンスが必要となっている点は留意が必要だ。
展開スケジュールと管理者が確認すべきこと
当初は2026年5月上旬からの展開が予定されていたが、現在は2026年6月中旬〜7月末に変更されている。大規模テナントへの展開は遅い方のタイミングになる可能性が高い。
Microsoft 365管理センターのメッセージセンター(MC1240699)および365ロードマップID 547732で展開状況を確認できる。グローバルナビゲーションを設定していないテナントではホームサイトのアイコンが表示されないため、組織ナビゲーションの整備状況も事前に確認しておきたい。
実務への影響:IT管理者・エンジニアが今やるべきこと
1. グローバルナビゲーションの設定状況を確認する
新アプリバーの最初のアイコン(組織ホームサイト)は、グローバルナビゲーションが設定されていないと表示されない。展開前にSharePoint管理センターでホームサイトとグローバルナビゲーションの設定を確認・整備しておくと、ユーザーへの影響を最小化できる。
2. エンドユーザー向けのコミュニケーションを事前に準備する
UIが大きく変わるため、「突然変わった」という混乱を避けるためのインターナルコミュニケーションが重要。変更時期のアナウンス、新しいナビバーの使い方説明、Yammer・Teamsでの周知など、展開前に準備を進めておきたい。
3. AI Citations Analyticsでコンテンツ品質を評価する
Copilotを導入済みのテナントであれば、AI引用分析は「組織の知識資産のヘルスチェック」として活用できる。引用頻度の高いドキュメントは最新状態に保ち、古い情報が多く参照されていないかを定期的に確認するワークフローを組み込むと良い。
4. Publish/Build の役割分担をチームに周知する
「誰がどのアイコンを使うのか」を事前に整理しておくと、展開後の混乱が減る。コンテンツ編集者は主にPublish、IT管理者・サイトオーナーはBuildを使う、という役割整理をドキュメント化しておくことを勧める。
筆者の見解
SharePointのUI刷新は「ようやく」という印象だ。現行のアプリバーは機能が増えるたびに場当たり的に追加された感があり、初めてSharePointを使うユーザーには直感的ではなかった。Discover・Publish・Buildという役割ベースの整理は、情報アーキテクチャとして正しい方向性だと思う。
AI Citations Analyticsは地味に見えて、実は実用性が高い機能だ。「Copilotが何を参照して回答しているか」はブラックボックスになりがちだった。これが可視化されれば、コンテンツ管理の優先度をデータで判断できるようになる。イントラネット担当者には刺さる機能だろう。
ただ、今回の機能の多くが「Copilotプレミアム必須」という壁に阻まれている点は、正直もったいないと感じる。SharePointはM365の土台であり、AI機能をその土台に統合することはMicrosoftにしかできない強みのはずだ。ライセンスの敷居が高いと、その強みを活かせる組織が限られてしまう。SharePoint自体の競争力を高めるためにも、基礎的なAI統合はより広いライセンス層で使えるように展開を広げてほしいというのが率直な期待だ。
UIリニューアルと合わせて、今こそSharePointのコンテンツ整備・情報設計を見直す好機でもある。展開を待つだけでなく、自組織のSharepoint活用状況をこの機会に棚卸ししてみてはどうだろうか。
出典: この記事は New SharePoint experience (2026) の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。