Anthropicは2026年5月、Claude Code v2.1.139をリリースし、複数エージェントセッションを一元管理する「エージェントビュー」と、設定した目標をClaudeが自律的に達成するまで動き続ける「/goalコマンド」を新たに追加した。AIコーディングツールの「自律性」が一段と高まった、見逃せないアップデートだ。
エージェントビューで複数セッションを俯瞰管理
今回の目玉のひとつがエージェントビュー(リサーチプレビュー)だ。ターミナルで claude agents を実行すると、実行中・応答待ち・完了済みのすべてのClaude Codeセッションが一覧で表示される。
これまでは複数のターミナルウィンドウを行き来しながら進捗を確認する必要があったが、エージェントビューにより全セッションの状態を一画面で把握できるようになった。並行して複数のAIエージェントを動かす開発ワークフローを組んでいる場合、管理コストが大幅に削減される。
/goalコマンド:「やり遂げるまで動け」を一行で
もうひとつの核心が /goalコマンドだ。完了条件を設定すると、Claudeはその条件を満たすまで複数ターンにわたって自律的に作業を継続する。インタラクティブモード、-p(プログラマティックモード)、Remote Controlのいずれでも動作し、経過時間・ターン数・トークン消費量がリアルタイムでオーバーレイ表示される。
たとえば /goal すべてのテストがパスするまでバグを修正し続ける と設定すれば、Claudeはテスト実行→エラー解析→コード修正→再テストのループを人間の介入なしに繰り返す。これは補助機能の強化ではなく、AIが目的志向で自律動作するエージェントとしての性格を明確に打ち出したものだ。
その他の主要な改善点
プラグインとコンテキスト管理
claude plugin details <name>でプラグインのコンポーネント一覧とセッションあたりの予想トークンコストを確認可能/context allのトークン推定値がモデルのトークナイザーに合わせて正確化/contextがプラグイン提供のスキルについて、提供元プラグイン名を表示
MCPサーバーとフックの改善
- MCPのstdioサーバーが環境変数
CLAUDE_PROJECT_DIRを受け取れるようになり、フックとの整合性が向上 - フックに
args: string[](exec形式)が追加され、パスのクォーティング問題を解消 PostToolUseフックにcontinueOnBlockオプションが追加。フックの拒否理由をClaudeにフィードバックしてターンを継続できる/mcp Reconnectが.mcp.jsonの編集を再起動なしに反映
セキュリティ関連
ANTHROPIC_API_KEY等が設定されている場合、Remote Controlや/scheduleなどのClaude.ai連携機能を自動無効化。意図しない認証情報の混在を防ぐ設計
バグ修正
- 期限切れ認証情報とポリシー設定が重なった際のデッドロックを修正
- シェル展開(
$VAR、$(cmd))を含むコマンドがautoAllowBashIfSandboxedで自動承認されなかった問題を修正 - HTTP/SSE MCPサーバーの非プロトコルデータによるメモリ無制限増大を修正(SSEフレームあたり16MBに制限)
実務への影響
/goalコマンドの活用シナリオ
シナリオ 具体的な使い方
CI修復 テストがすべてグリーンになるまで自動修正
コード品質改善 特定のlintルール違反がゼロになるまで修正
ドキュメント生成 全公開関数にJSDocが追加されるまで作業
リファクタリング 設定した指標を満たすまで継続的に改善
エージェントビューは、複数のリポジトリや機能を並行開発する場面で特に力を発揮する。「今どのエージェントが何をしているか」を常時把握しながら、人間はハイレベルな意思決定に集中できる体制が整う。
MCPとフック周りの改善は、Claude Codeをより大規模な自動化パイプラインに組み込む際の安定性向上に直結する。.mcp.json の編集が即時反映されるようになったことで、設定変更のたびに再起動する手間もなくなった。
筆者の見解
/goalコマンドが示すのは、「AIに指示を出して結果を待つ」というモデルから、「AIに目的を渡して自律的にやり遂げてもらう」モデルへの明確なシフトだ。エージェントビューとの組み合わせは特に興味深い。複数のエージェントがそれぞれのgoalに向かって並列に動き、人間はその進捗を俯瞰しながら必要なときだけ介入する——このワークフローが、これからのソフトウェア開発の一形態として定着していくだろう。
もちろんエージェントビューはリサーチプレビューの段階であり、長時間の自律動作には依然として注意が必要だ。しかし方向性は明確で、「AIに何度も指示を繰り返す」手間を削減し、エンジニアが本当に考えるべき課題にフォーカスできる環境を着実に整えている。
日本のエンジニアにとっては、まずエージェントビューと/goalコマンドを日常のワークフローに組み込んでみることをお勧めする。「自律エージェントと協働する」感覚を身体で理解することが、今後の開発スタイルを考える上で確実に効いてくるはずだ。
出典: この記事は Anthropic Introduces ‘Dreaming’ — Persistent Memory Consolidation for Managed Agents の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。