Engadgetが報じた任天堂の2026年度決算発表によると、Nintendo Switch 2の米国販売価格が50ドル引き上げられ、500ドルとなることが明らかになった。メモリ価格の高騰と米国の関税措置が主な要因で、任天堂は次年度の販売台数についても保守的な見通しを示している。
値上げの背景——半導体危機と関税のダブルパンチ
Engadgetによると、今回の値上げはメモリを中心とする部品コストの上昇と、米国の関税措置が重なった結果だ。任天堂の決算発表では「関税措置および特にメモリを中心とする部品価格の上昇により、約1,000億円の追加コストが発生する見込み」と明記されている。
比較として、ソニーのPS5は過去1年間で150ドル値上がりしており、今回の50ドルはそれより小幅ではある。ただしEngadgetは「任天堂のファン層はより若く、価格感度が高い」と指摘しており、値上げが販売に与える影響は軽視できない。
驚異的な前年度実績と、一転して保守的な次年度予測
Switch 2はリリースから3四半期で1,986万台を販売という驚異的な実績を残した。今四半期単体でも249万台を出荷している。
しかし任天堂は次年度(2027年3月期)の販売台数を1,650万台と予測。多くのアナリストが2,000万台超を期待していたことを踏まえると、かなり保守的な数字だ。任天堂は「発売2年目としては堅調な水準」と説明しており、前年度が自社予測を大幅に上回ったことへの反省から、意図的に見通しを引き下げた可能性もある。
ソフトウェアは記録的な好調
ハードの減速予測とは対照的に、ソフトウェアは引き続き好調だ。2026年度のソフト販売は1億8,562万本(SwitchおよびSwitch 2合算)で、前年の1億5,541万本(Switch単体)から大幅増加。主要タイトルの実績は以下の通りだ。
- マリオカートワールド: 1,470万本
- ポケモンレジェンズ Z-A: 850万本
- ドンキーコングバナンザ: 450万本
映画「スーパーマリオギャラクシー」も公開4週間で8億ドル超の興行収入を記録しており、任天堂IPのブランド力は健在だ。
財務全体では、2026年度売上高が前年比98.6%増の2兆3,000億円(約147億ドル)と記録的な成長を達成。次年度は約11.4%の減収を見込むものの、ソフトウェア販売増により営業利益はわずかに増加する見通しとしている。
日本市場での注目点
現時点で日本国内の価格変更は発表されていない(現行49,980円・税込)。ただしメモリコスト高騰と関税の影響はグローバルに波及しており、国内価格への転嫁がいつ発生してもおかしくない状況だ。
競合軸では、Steam DeckやASUS ROG AllyといったポータブルゲーミングPCとの比較が引き続き注目される。Switch 2はマリオカートワールドやポケモンレジェンズ Z-Aといった独自タイトルでエコシステムを固めており、純粋なスペック競争とは異なる土俵で戦っている点は変わらない。
筆者の見解
今回の値上げは「半導体サプライチェーン×地政学的リスク」が消費者価格に転嫁される典型例として、ゲーム業界を超えた示唆がある。あらゆるハードウェア製品がこの構造的コスト圧力に晒されており、エンジニアや調達担当者は自社製品・サービスへの影響を今から試算しておくべきだろう。
一方でソフトウェアの堅調さは、プラットフォームビジネスの本質的な強みを改めて示している。ハードが値上がりしても魅力的なソフトラインナップで販売を維持できるモデルは、ロックインが機能している証拠だ。任天堂が1,650万台という保守的な予測を「堅調」と表現できるのも、IPの力あってこそだ。
技術者の視点では、メモリ価格の動向が今後のあらゆるデバイス設計に影響を与え続ける点に注目しておきたい。サプライチェーンの多元化がどこまで進むかが、ハードウェア価格のトレンドを左右する重要変数になっている。
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出典: この記事は Nintendo is raising Switch 2 prices as chip crisis bites の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。

