Windowsカスタマイズツール「NTLite」の最新版(2026.04.10936)が、Windows 11 25H2のインストールイメージからCopilotやRecallといったAIコンポーネントをインストール前に完全除去する機能を追加した。2026年5月4日にgHacksが報じたことで注目を集めているが、日本の企業IT現場でも無視できない話題だ。
「無効化」と「除去」は別物だった
CopilotやRecallをインストール後に無効化しようとした経験のある管理者なら、あの「完全に消えない感覚」を知っているだろう。設定画面でオフにしてもレジストリエントリやスケジュールタスク、バックグラウンドプロセスが残る。GPOやMDMポリシーで非表示にしても、バイナリが残るため脆弱性スキャンで検出される——という問題に頭を悩ませた例は少なくない。
NTLiteのアプローチは根本的に異なる。WIMまたはESDファイルを直接編集し、対象コンポーネントをファイルシステムに触れさせる前に除去する。結果として、対象機能の「フットプリントゼロ」なクリーンイメージが作成できる。
今回除去できるようになったコンポーネント
- Windows Copilot(タスクバー統合とアシスタントサービス)
- Windows Recall(スクリーンショット履歴によるタイムライン検索機能)
- AIを活用した検索・インデックスコンポーネント
- Microsoftクラウドエンドポイントへのデータ送信を行うConnected AI Experiences
- Copilotキーハンドラーと関連ショートカット
NTLiteのツリービューから「Windows Apps > System Apps」を選択し、チェックを入れるだけで対象を選択できる。依存関係の自動解決機能も備わっており、除去後にインストールが壊れる心配も少ない。
Recallが特に問題視される理由
Recallは開いたウィンドウのスクリーンショットを継続的に記録し、過去の操作を検索可能にする機能だ。Microsoftはオンデバイス処理と暗号化を強調しているが、医療・金融・法務などの業種では「活動記録機能が存在すること」自体がコンプライアンス上のリスクとなる。機能を無効化するだけでなく、存在そのものを排除できることに実務上の意義がある。
実務での活用ポイント
マスターイメージの刷新時に組み込む: PCのリフレッシュや新規展開のタイミングで、NTLiteを使ったAI機能除去済みイメージを作成しておく。一度仕組みを構築すれば以後は自動化できる。
コンプライアンス監査への備え: 個人情報保護法・医療情報安全管理ガイドライン・PCI DSS等に準拠する環境では「機能が無効化されている」より「そもそも存在しない」を示す方が監査対応として明確だ。
スクリプト統合: NTLiteはコマンドラインからも利用できるため、既存のイメージ作成自動化パイプラインへの組み込みも現実的。部門別・コンプライアンスプロファイル別のイメージを一括生成する構成も可能だ。
中小企業にも有効: エンタープライズのMDM基盤がなくても、インストールISOを作り直せるため、規模を問わず実用的な選択肢になる。
なぜこれが重要か
Microsoftは近年、AIコンポーネントをWindowsの深い部分に統合するアプローチを続けている。新機能として追加するのではなく、OSの一部として組み込む形だ。その意図は理解できるが、医療・金融・公共機関といった分野では、新機能の導入に社内承認・法的審査・リスク評価が必要になる。後追いで慌てて無効化作業をするより、展開設計の段階でコンプライアンス要件を組み込める手段があることは、運用現場の負担を確実に軽減する。
筆者の見解
MicrosoftがCopilotやRecallをOSに深く統合するのは、戦略的に理解できる判断だ。ただ「統合すること」と「選択の余地を残すこと」は両立できるはずで、企業が安心してWindowsを展開できる土台を公式に整えることこそが、長期的な信頼につながると思う。
サードパーティが「除去ツール」で応えるという構図は、企業ユーザーの管理ニーズがまだ十分に満たされていないことの表れでもある。MicrosoftがOSレベルで「AI機能なしの展開プロファイル」を正式にサポートする形になれば、こういったツールの需要も自然と役割が変わっていくだろう。それはMicrosoftにとってもユーザーにとっても、より健全な関係だ。
NTLite自体は長年Windowsカスタマイズ分野で実績を重ねてきたツールで、今回の25H2対応も「ようやく来た」という感覚が強い。企業のIT管理者は、次回のイメージ作成サイクルで選択肢の一つとして検討してみる価値は十分にある。
出典: この記事は NTLite 2026 Adds Pre-Install Removal of Copilot and Recall in Windows 11 25H2 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。