AppleがSiriのAI機能をめぐる集団訴訟について、2億5000万ドル(約375億円)の和解に合意したことが明らかになった。Tom’s GuideのUK編集長Jeff Parsons氏が2026年5月6日に報じた。対象となるiPhoneユーザーは最大約3600万人にのぼり、一人あたり最大95ドル(約1万4000円)の補償を受け取れる可能性がある。
訴訟の発端——「使えない機能」を「今すぐ使える」と宣伝
この訴訟は2024年、カリフォルニア州在住のPeter Landsheft氏がAppleに対して提起した。問題の核心となったのは、Apple Intelligence強化版Siriを宣伝するTVCMだ。英国の女優Bella Ramsey氏を起用したこの広告では、実際にはユーザーが利用できていなかったAI機能をあたかも「今すぐ使える」かのように描写していた。
全米広告部門(National Advertising Division)も訴えを支持し、「AppleはSiriの新機能が『今すぐ利用可能』とユーザーを誤解させた」と結論づけた。
和解の内容と対象者
Tom’s Guideの報道によれば、Appleは2026年5月5日に裁判所へ和解書を提出した。なお、この和解に不正行為の認定は含まれていない。Appleは「最も革新的な製品とサービスの提供に集中するため、この問題を解決した」とコメントしている。
補償対象のデバイスと期間
- iPhone 16(全モデル)
- iPhone 15 Pro / iPhone 15 Pro Max
- 購入期間:2024年6月10日〜2025年3月29日(アメリカ国内購入限定)
補償額は申請者数によって変動する。申請が少なければ一人最大95ドル、申請が集中すれば25ドル程度になる見込みだ。裁判所の最終承認はまだ出ていない。
Siri 2.0の現状——WWDC 2026まで続く長い待ち
この訴訟の背景には、Apple IntelligenceによるSiri強化が大幅に遅延したという事実がある。当初はiOS 18.1でiPhone 15 Pro・iPhone 16ファミリーへの提供が見込まれていたが、Appleは2025年3月に延期を発表し、問題の広告も削除された。
Tom’s Guideによると、Siri 2.0の本格的な発表は2026年夏のWWDCが予定されており、実際の提供開始はiPhone 18 ProやiPhone Foldが登場する2026年9月以降になる見通しだという。
日本市場での注目点
今回の集団訴訟はアメリカ国内限定の案件であるため、日本のiPhoneユーザーは直接の補償対象外だ。ただし、以下の点は日本市場でも注視すべきだろう。
Apple Intelligence / Siri強化の日本語対応: 現時点でApple Intelligenceの日本語対応は限定的で、パーソナライズドSiriの全機能が日本語で利用できる時期は明示されていない。WWDC 2026での発表内容が、日本ユーザーにとっての実質的なロードマップとなる。
競合との差: Siriの遅延が続く間に、GoogleのGemini統合やGalaxy AIなど競合の音声AI機能は着実に進化している。Appleが遅れを取り戻せるかどうかは、2026年後半の製品展開にかかっている。
筆者の見解
今回の件は、AI機能のマーケティングと実際の提供能力の間にある「深い溝」を象徴する出来事だ。
「存在しない機能を、あるかのように宣伝する」——この判断は技術的な遅延よりもはるかに深刻な問題を生む。AIアシスタントの領域では、一度「使えない」という体験を積んだユーザーの信頼を取り戻すのは非常に難しい。Appleほどのブランド力と設計力を持つ企業が、なぜこの判断をしたのか疑問が残る。
AIは「見せ方」ではなく「実際に何ができるか」で評価が決まる時代になっている。Siri 2.0がWWDC 2026でどこまでの実力を示すか——。Appleには看板を立てた以上、それに見合う機能で正面から勝負してほしい。iPhone 18世代での本格的な巻き返しを、率直に期待している。
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出典: この記事は Apple agrees $250m settlement over Siri class action lawsuit that means up to 36m iPhone users could be eligible for a pay-out — this is how much you could receive の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。

