何が起きたか
2026年4月16日、VS Code の Git 拡張機能に静かな変更がマージされた。git.addAICoAuthor という設定のデフォルト値が "off" から "all" に切り替えられ、Copilot を一切使っていなくても、コミット時に自動で Co-authored-by: GitHub Copilot というトレーラー行が付与されるようになったのだ。
PR(#310226)には説明文すらなく、コミュニティの反応は苛烈だった。投稿から数日で 👎 が 372件に達し、賛成の 👍 はわずか 2件。GitHub の単一PRとしては異例のスコアだ。
技術的な問題点
「使っていないのに名前が入る」問題
git の Co-authored-by トレーラーはもともと、複数人で書いたコードを正直に記録するための仕組みだ。OSS コミュニティでは著作権の帰属を明確にするために使われ、企業の内部開発でも「誰が書いたか」の追跡に使われる。
デフォルト "all" は、Copilot を積極的に使ったかどうかに関わらず、VS Code を起動していれば Co-author として記録する可能性を意味する。たとえ自分でゼロから書いたコードでも、コミットには AI の名前が残る。
実装の不整合も指摘
Copilot によるコードレビューも、この PR の問題を正確に突いている。設定スキーマのデフォルトは "all" に変わったが、extensions/git/src/repository.ts 内のランタイムフォールバックは config.get('addAICoAuthor', 'off') のままだ。スキーマとランタイムが乖離しており、テスト環境などでは意図しない挙動が生じる可能性がある。
オプトアウト設計の本質的な問題
ソフトウェアのデフォルト設定はユーザーの同意を代理する。特にプライバシー・著作権・帰属に関わる設定で「デフォルト有効」を選ぶことは、「ユーザーは気づかなくていい」という設計思想の表明にほかならない。
実務への影響
日本の企業エンジニアが確認すべきこと
1. 設定の明示的な管理
settings.json または devcontainer.json に次を追加し、意図しない挙動を防ぐ。
出典: この記事は VS Code inserting ‘Co-Authored-by Copilot’ into commits regardless of usage の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。