Valveが毎月公開するSteam ハードウェア&ソフトウェア調査(Steam Hardware & Software Survey)の最新データで、Steamユーザーの67.74%がWindows 11を使用していることが明らかになった。ゲーミングPCは一般的なビジネスPCよりもハードウェアのリフレッシュサイクルが早く、OS普及の先行指標として機能することが多い。Windows 10のサポートがすでに終了している現在(2025年10月末)、この数字が示す意味をIT現場の視点から紐解く。
なぜゲーマーはWindows 11へ移行したのか
ゲーミングPCユーザーは、パフォーマンス向上を求めて定期的にハードウェアを刷新する傾向にある。Windows 11の前提要件であるTPM 2.0は2018年以降の多くのPCで満たされており、Direct Storage(高速NVMe SSDによるロード時間の大幅短縮)やAuto HDRといったゲーム向け最適化機能が移行の動機となってきた。「新しいハードを買ったら自然にWindows 11になっていた」というケースも多く、ゲーマーはある意味で自然な流れとしてアップグレードを消化してきたと言える。
残り約32%のWindows 10ユーザーは、旧ハードウェアの継続使用、互換性問題、あるいは単純な「変えたくない惰性」が理由と思われる。EOL後のOSでオンラインゲームを続けることはセキュリティリスクだが、ゲーマーコミュニティでの実利的な判断力は概して高く、徐々に移行が進むだろう。
Windows 11の「本当の価値」はセキュリティアーキテクチャ
Windows 11で注目すべき変化は、ビジュアルの刷新よりもセキュリティ基盤の強化だ。カーネルモードドライバーの締め出し強化、Smart App Control、VBS(Virtualization-Based Security)のデフォルト有効化——これらは地味だが、マルウェアの侵入経路を根本から変えるレベルの変化だ。
Steamユーザーという実利的なユーザー層がこの「セキュアな基盤」へ先行移行しているという事実は、Windows 11の持つ本質的な価値を改めて証明していると言っていい。
実務への影響——IT管理者が今すべきこと
法人IT部門にとって、Steam調査データは「コンシューマーの話」と思われがちだ。しかし在宅勤務やBYOD端末の実態把握に、こうした外部データは有用な参考値になる。現場で考えるべきポイントは以下の通りだ。
- Windows 10 EOL後の棚卸し: 管理端末でWindows 10が残っているなら、ESU(有償延長サポート)のコスト対効果を再評価し、移行計画を前倒しにすることを検討する
- 互換性の事前調査: 移行を阻んでいる業務アプリやドライバーを特定し、ベンダーへのアップデート要求またはアプリ入れ替えを具体的に進める
- ユーザー認識のアップデート: 「まだ動いているから大丈夫」という思考を変える。EOL後のOSはセキュリティパッチが供給されない状態が続くという事実を組織内で周知する
筆者の見解
67.74%という数字は「やっとここまで来たか」という感慨と、「残り約32%をどう動かすか」という課題を同時に示している。
Windowsのバージョンを細かく追うこと自体に以前ほどの意味はなくなってきたが、「セキュアな基盤に乗っているかどうか」は依然として重要な問いだ。Windows 11への移行は、新機能の享受というより、セキュリティリスクを回避するための「衛生行動」として捉えるべきだろう。
Microsoftには、移行の摩擦——特に古いハードウェア要件の壁や業務アプリ互換性の問題——をもっと積極的に取り除いてほしい。Windows 11に正面から取り組める力を十分に持っているのだから、移行を阻む障壁を減らす取り組みにもっと力を入れることを期待している。この67.74%がやがて90%を超えるとき、それが真の意味での「Windows 11の時代」の到来になる。
出典: この記事は Valve: 67.74% of Steam users run Windows 11 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。