Tom’s Guideのライター・Elton Jones氏が、ChatGPTを活用した「会話力向上実験」の結果を公開した。日常的に使いがちな形式的な質問(いわゆる「フィラー質問」)をAIの力で刷新したところ、友人たちとの会話が驚くほど深くなったという体験を報告している。

なぜこの使い方が注目されるのか

ChatGPTをはじめとするLLMの活用シーンは、情報収集や文書生成にとどまらない。「自分のコミュニケーションを改善するコーチ」としての使い方が静かに広がっている。Jones氏の実験は、AIを単なる「検索エンジンの代替」ではなく「自己改善のパートナー」として活用する好例として、多くの読者の共感を呼んだ。

Tom’s Guideレビューのポイント

Tom’s GuideのElton Jones氏によると、実験のきっかけは自身の「フィラー質問」癖への気づきだった。「今日どうだった?」「趣味は何?」といった定番フレーズは、相手から短い答えしか引き出せない。そこで以下のプロンプトをChatGPTに入力したという。

「強すぎず不自然でもなく、相手が自然に話してくれるような、より良いバージョンの日常的な質問を教えて」 ChatGPTが返してきたのは、各フィラー質問の「代替バージョン」リストだった。Jones氏が紹介した例を以下に抜粋する。

「今日どうだった?」の代わりに:

  • 「今日一番良かったことは?」
  • 「予想外に良いことはあった?」
  • 「今日一番エネルギーを使ったことは何?」
  • 「終わってよかったことは?」

「元気?」の代わりに:

  • 「今週はどんな感じ?」
  • 「最近うまくいってることある?」

「仕事どう?」の代わりに:

  • 「最近仕事で一番イライラすることは?」
  • 「仕事が混沌としてる?それとも退屈?」
  • 「職場でもっとわかってほしいことがあるとしたら?」

Jones氏は「これらの質問を実際の会話に取り入れたところ、友人たちはすぐに会話の深さが変わったことに気づいた」と述べている。形式的なやり取りから脱して、本音の交換が増えたとのことだ。

日本市場での注目点

ChatGPTは日本語に完全対応しており、上記のようなプロンプトを日本語で入力しても同様の成果が得られる。日本では「空気を読む」文化の影響で直接的な質問が難しい場面も多いが、Jones氏の手法を参考に「さりげなく深い質問」をAIに提案させるアプローチは、そのまま日本語で実践できる。

ビジネスシーンでの応用も即効性がある。1on1ミーティング、採用面接、顧客ヒアリングなど「相手の本音を引き出す必要がある場面」でAIをコーチとして使うのは、すぐに試せる実践的な活用法だ。

ChatGPTはブラウザ・スマートフォンアプリで無料プランから利用可能。有料プランのChatGPT Plus(月額約3,000円)を契約しなくても、この種の質問生成であれば無料枠で十分対応できる。

筆者の見解

Jones氏の実験が示しているのは、AIを「答えを出す機械」としてではなく「自分の思考や行動を磨く道具」として使う視点だ。情報量が爆発的に増えた今、「何を知っているか」よりも「どう問いかけるか」の方が、人間同士のコミュニケーションでも、AIへの指示でも、本質的な価値を持つ時代になっている。

AIが人間の認知負荷を削減するという観点から見ると、「その場でAIに良い質問を生成させる」という使い方は非常に理にかなっている。会話に集中しながら、最適な問いかけをAIに肩代わりさせる——これはエンタープライズ向けAI活用の議論にも通じる示唆を含んでいる。

再現性の高さも評価ポイントだ。特別なスキルも費用もいらない。「フィラー質問に気づき、AIに改善案を求め、実践する」という3ステップで明日から試せる。「情報収集のためのAI」から「自己改善のためのAI」へ——この発想の転換は、日本のビジネスパーソンにとっても十分参考になるはずだ。


出典: この記事は I used ChatGPT to ask better questions during conversations and people actually noticed の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。