Tom’s GuideのScott Younker記者は2026年5月1日、長年噂されてきた折りたたみiPhone「iPhone Fold」(または「iPhone Ultra」)について、ディスプレイ中央に生じる「クリース(折り目)」問題を解決するために採用したとされる3つの技術を詳しく報告した。

なぜiPhone Foldが注目なのか

折りたたみスマートフォン市場では、Samsungが「Galaxy Z Fold」シリーズを長年リードしてきた。しかし最大の未解決課題として残ってきたのが、ディスプレイ中央に生じるクリースだ。Appleはこの問題を解決できるまで折りたたみiPhoneを発売しないという方針を貫いてきたとされており、Tom’s Guideの報告は「解決策がついに揃いつつある」ことを示唆している。

海外レビューのポイント——3つのクリース対策技術

1. 液体金属ヒンジ

Tom’s Guideによると、チタンと液体金属を組み合わせたヒンジが採用されるという。2024年ごろから噂が出始めており、2026年1月のリポートで再確認された技術だ。数千回の折り畳みに耐える耐久性を持ちながら、折り畳み時にガラスへかかる張力を分散させることでクリースの発生を抑える設計とされている。

2. 可変厚の超薄型ガラス(UTG)パネル

ディスプレイパネルはSamsungディスプレイが製造するものの、設計はApple独自のものになるという。中央の折り畳み部分を薄くして柔軟性を高め、端に向かって厚みを増して耐衝撃性を確保する「可変厚設計」が特徴だ。応力の集中を防ぎながら実用的な強度も維持する構造になっている。

3. 光学的透明接着剤(OCA)

2026年4月に報告された技術で、「optically clear adhesive(OCA)」と呼ばれる特殊な接着剤が使用されるとされる。Tom’s Guideが引用した解説によれば、「微小流動特性により、長期使用で形成される微細な不規則部分を埋め、光散乱を減らし、可視クリースをさらに最小化する」という。適度な流動性を保ちながら繰り返しの折り畳みで生じる微細な変形部分を埋め、視覚的な折り目を継続的に抑制する効果が期待される。

発売時期と競合動向

複数のリーク情報は、iPhone FoldがiPhone 18 Pro/Pro Maxと同じ2026年9月発売を示している。価格は2,000ドル超と予測されており、SamsungのGalaxy Z Foldシリーズの開始価格1,999ドルと同水準かそれ以上の見込みだ。

なお、SamsungもGalaxy Z Fold 8向けにクリースなしの「MONT Flexディスプレイ」を開発中とされており、2026年7月の発売が予測されている。折り目問題をめぐる両社の技術競争は、今年後半に向けて激化する見通しだ。

日本市場での注目点

日本は世界有数のiPhoneシェアを持つ市場であり、折りたたみiPhoneが登場した場合の影響は他国より大きいと見られる。一方で、2,000ドル超の価格は円安が継続する場合30万円前後になる可能性があり、一般層への即時普及はハードルが高い。とはいえ日本には「高くても買う」層が一定数存在するのも事実で、発売初日の販売台数は注目を集めそうだ。

日本での発売時期は通常のiPhoneと同様、北米発表から数週間以内のグローバル同時展開が期待されるが、現時点で公式情報は一切ない。

筆者の見解

今回報じられた3技術——液体金属ヒンジ、可変厚UTG、OCA——を見て感じるのは、Appleらしい「要素技術の組み合わせによる確実な解決」へのアプローチだ。新素材一点突破ではなく、ヒンジ・パネル・接着剤というディスプレイを構成する各レイヤーで問題に対処するのは、再現性と信頼性を重視するエンジニアリングとして筋が通っている。

気になる点は、パネルがSamsungディスプレイ製であること。設計はApple独自とはいえ、競合他社の折りたたみ端末向け技術と同じ製造元であることは、サプライチェーン上の興味深い構造を生んでいる。

価格帯については、折りたたみスマートフォン全体が抱える課題でもある。技術的完成度が上がるにつれ価格が下がるというサイクルが通常であれば、初代iPhone Foldは「完成形への布石」として位置づけるのが現実的だろう。少なくとも、折り目問題への取り組みが本物であれば、市場の評価基準を塗り替える可能性は十分にある——そのときこそ折りたたみスマートフォンが真に「次の標準」へと移行する瞬間になるはずだ。


出典: この記事は iPhone Fold: 3 technologies Apple is reportedly using to (finally) kill the crease の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。