米ガジェットレビューメディア「Gadget Review」が2026年上半期の注目・革新的製品として選出した中で、フランスのデジタルヘルス企業Withingsが発表したBody Scan 2が高い注目を集めている。60以上のバイオマーカーを一度の計測で取得できる体組成計として、医療グレードに近い精度をコンシューマー市場に持ち込む野心的な製品だ。
Body Scan 2とは何か
Withings Body Scan 2は、従来のスマートスケール(体重計)の概念を大きく超えた製品だ。主な計測技術として以下の3つを組み合わせている。
- インピーダンス心拍動態(Impedance Cardiography): 微弱電気信号で心臓の拍出量や血流を非侵襲的に計測する手法
- 6誘導ECG(心電図): 一般的なスマートウォッチが1〜2誘導であるのに対し、6誘導を実現。心臓の電気活動をより多角的に把握でき、不整脈検出の精度が大幅に向上する
- 生体インピーダンス分光法(Bioelectrical Impedance Spectroscopy / BIS): 複数周波数の微弱電流を体に流すことで、脂肪・筋肉・体水分量・内臓脂肪などをより高精度に分離計測する。従来の単一周波数BIAより水分量の影響を受けにくく、再現性に優れる
これらを組み合わせることで、60以上のバイオマーカーを体重を量るたびに継続的に記録できる点が最大の差別化ポイントだ。
海外レビューのポイント
Gadget Reviewによると、Body Scan 2は「2026年上半期で最も注目すべきイノベーティブ製品」の一つとして選出されており、その革新性の核心は医療グレードの検査技術を家庭用スケールに凝縮した点にある。
評価される点
- 6誘導ECGはApple WatchなどのウェアラブルのECGと比較して、心臓の電気活動をより立体的に捉えられる
- BISによる体組成分析は従来のBIAより測定条件の影響を受けにくく、継続計測での精度が期待できる
- 体重計測という日常行為に乗せてバイタルのトレンドを蓄積できる設計が慢性疾患の早期発見に貢献しうる
気になる点
- 医療機器としての各国規制対応(CE認証・FDA承認・日本の薬機法)の明確化が必要
- 価格帯は現時点で公式発表がなく、初代Body Scan(米国価格399.95ドル)を踏まえると相応の投資が求められる可能性がある
- 「60以上のバイオマーカー」を日常でどう活用するかという利用設計がユーザー側に委ねられる
日本市場での注目点
Withings製品は日本でも一部ECサイト・Apple Store経由で入手可能だが、ECG関連機能については日本の薬機法対応の観点から制限がかかるケースがある。Apple Watch Series 9のECG機能も国内では当初利用不可であった経緯があり、Body Scan 2の日本向け正式ローンチ時に同様の対応が生じる可能性は否定できない。
価格面では、初代Body Scanが日本市場で5〜6万円台で流通していた実績を踏まえると、Body Scan 2はさらに上位の価格帯になると見られる。競合製品としては国内ではオムロンHBF-702TやタニタRD-953などが存在するが、6誘導ECGとBISの組み合わせはこれらにはない差別化ポイントであり、直接的な競合はほぼ存在しない。
筆者の見解
ウェアラブル・体組成計の世界で「医療グレード」という言葉がしばしば独り歩きする中、Body Scan 2のアプローチは技術的に筋が通っている。特に6誘導ECGは数字のマーケティングではなく、心臓の電気活動を多方向から捉えられる実質的な差であり、不整脈の早期発見や心房細動のスクリーニングにおいてスマートウォッチとは本質的に異なる情報量を持つ。
一方、「60以上のバイオマーカーを計測できること」と「その値を正しく解釈して行動に活かせること」は別の問題だ。かかりつけ医が読めるレポート形式になっているか、医療機関との連携をどう設計するかが実用性を左右する。データが集まるだけで「次のアクションにつながらない」製品は、どれほど精度が高くても日常には根付かない。
日本では健康経営・予防医療への関心が急速に高まっており、「継続計測できる家庭用バイタルモニタ」のニーズは確実に存在する。ただし購入にあたっては、ECG機能の国内利用可否と、データをどう活用する仕組みが整っているかを事前に確認することを強く勧めたい。
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出典: この記事は Withings Body Scan 2 Measures 60+ Biomarkers with Six-Lead ECG の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。