メカニカルキーボード愛好家に衝撃を与えたダイヤテック株式会社の事業終了発表から約5日。同ブランドの製造を長年担ってきた台湾の非爾特(Feierte)が4月27日付けでFILCOブランドの継承を発表した。PC Watchが4月28日に報じている。
ダイヤテック事業終了——何が起きたのか
ダイヤテック株式会社は4月22日付けで事業終了を発表。「FILCO」ブランドのメカニカルキーボードは、Majestouch シリーズを筆頭にプログラマーや文筆業を中心に根強い支持を集めてきただけに、突然の幕引きはファンに大きな衝撃を与えた。背景には近年のPC産業全体の低迷があり、声明の中でも「多くの専門キーボードブランドが運営の継続を困難としており、最終的にダイヤテックも幕を閉じることとなった」と言及されている。
台湾・非爾特が引き継ぎを表明——声明の内容
FILCO製品の製造を実際に担ってきた台湾の非爾特は、4月27日付けでブランド継承に関する声明を公表した。PC Watchが全文翻訳を掲載している。
引き継ぐ内容は以下の3点だ。
- FILCOブランドの継承
- 修理対応の継続
- 販売業務の継続
声明の中には「皆様の手元にあるすべてのFILCOキーボードを守るために尽力してまいります」という言葉があり、既存ユーザーへのコミットメントが強調されている。「コストをいかに下げるかではなく、FILCOの愛用者がキーボードを叩くその一瞬一瞬に誇りと喜びを感じてほしかった」という言葉にも、ただのビジネス買収ではない姿勢が滲む。
日本市場での注目点
既存FILCOユーザーが最も気にするのは「手元のキーボードの修理・サポートはどうなるのか」という点だろう。今回の発表で修理対応の継続は明言されたが、窓口の詳細や申込み手順については現時点で公開情報がなく、今後の案内待ちとなる。
購入面では、Amazon.co.jpや一部の専門店にMajestouchシリーズなどの在庫が引き続き流通している。ブランドが消滅するわけではないため、当面の入手経路は維持される見通しだ。ただし、新製品が投入されるかどうかは現時点で不明であり、今後の展開を注視する必要がある。
競合としては、東プレのRealForce(静電容量無接点方式)やHHKB(PFU)、海外勢ではKeychronやDucky、Leopoldといったブランドが存在感を高めている。FILCO が得意としてきた「Cherry MX スイッチを使った実直なメカニカルキーボード」の路線で差別化できるかが、非爾特体制での鍵となる。
筆者の見解
今回の展開で救われた点は明確だ。FILCOブランドが消えることなく、製造の実態を最もよく知っている会社がそのまま引き継いだ。品質を守るうえでこれ以上理にかなった継承の形はなく、「日本の設計・台湾の製造」という分業体制が一体化されることで、むしろコミュニケーションロスが減ってシンプルになるとも考えられる。
一方で、この出来事は専門キーボード市場の構造的な難しさを改めて浮き彫りにした。ゲーミング周辺機器の市場拡大が追い風になるかと思いきや、「仕事の道具としてのキーボードに予算をかける」という層は確実に縮小している。道具の質を重視する文化が守られるかどうかは、最終的にはユーザーが継続的に選んで買い続けるかどうかにかかっている。
FILCOを長年使い続けてきたユーザーにとっては、とりあえず安堵できる発表だ。次の焦点は新体制での新製品開発と、日本向けサポート窓口の整備。この2点が明確になれば、ブランドの信頼回復は早いはずだ。
関連製品リンク
上記はAmazon.co.jpへのリンクです。記事執筆時点の情報であり、価格・在庫は変動する場合があります。
出典: この記事は FILCOブランドを台湾の製造パートナーが引き継ぎ の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。
