2026年4月22日、Frameworkは「Next Gen」と銘打った大規模な製品発表イベントを開催し、モジュラーPC関連の複数の新製品を一挙に公開した。テクノロジーメディア「Geeky Gadgets」がJulian Horsey氏の署名入りで詳細を伝えており、なかでも注目を集めているのがワイヤレスタッチパッドキーボード「Framework Wireless Touchpad Keyboard」だ。
なぜこの製品が注目か
Framework Wireless Touchpad Keyboardが他のBluetoothキーボードと一線を画すのは、オープンソースファームウェアを採用している点だ。ユーザー自身がファームウェアを改変・カスタマイズできる設計は、QMKやVIA対応キーボードを愛用するエンジニア層にとって強い訴求力を持つ。さらに交換可能な充電式バッテリーの採用により、電池劣化でキーボードごと廃棄するという「使い捨て文化」からの脱却を明確に打ち出している。
Bluetooth LEとUSBの両方によるマルチホスト接続対応も実用的な強みだ。デスクトップ・ノートPC・タブレットなど複数のデバイスをシームレスに切り替えながら使えるキーボードは、マルチデバイス環境で働くエンジニアやクリエイターに響く仕様となっている。
Framework Wireless Touchpad Keyboard の主要仕様
- 接続方式: Bluetooth LE + USB(マルチホスト対応)
- ファームウェア: オープンソース(カスタマイズ可能)
- バッテリー: 交換可能な充電式バッテリーを採用
Framework Laptop 16——Expansion Bayが拡張の要に
Geeky GadgetsのJulian Horsey氏のレポートによると、Framework Laptop 16は今回のイベントで大幅に強化されたとされる。最大のポイントはExpansion Bayシステムの刷新で、外付けGPUや高速周辺機器をモジュール式に交換できる設計が引き続き採用されている。OculinkDevkitの追加により、外部PCIe接続でeGPUなどの高性能周辺機器との連携も可能になった。
新設計のワンピース触覚フィードバック式タッチパッド&キーボードは操作感を向上させた。ベゼルには98%ポストコンシューマーリサイクルポリカーボネート(半透明スモークグレー)を採用しており、Frameworkのサステナビリティへの一貫したコミットメントが形に現れている。Ryzen AI5構成の追加により、入門価格帯の選択肢も広がった。
Framework Laptop 13 Pro——携帯性と性能のバランス
同レポートでは、Framework Laptop 13 Proについても詳細が紹介されている。Intel Core Ultra Series 3およびAMD Ryzen AI 300プロセッサを搭載し、性能と省電力性のバランスを追求した仕様だ。CNCアルミニウムシャーシで堅牢性を確保しつつ、ディスプレイは3:2アスペクト比・700ニト輝度・アンチグレア・タッチ対応と、モバイルワーク向けの視認性に注力している。Dolby Atmos対応のサイドファイアリングスピーカーも搭載される。
Horsey氏のレポートでは、旧モデルとの後方互換性を維持している点も強調されており、既存Frameworkユーザーが安心してアップグレードできる設計方針が続いていることが確認できる。
海外レポートのポイント
Geeky GadgetsのJulian Horsey氏は、今回のイベント全体を通じて「モジュール性とサステナビリティへの一貫したコミットメント」を高く評価している。オープンソースのCADデザインファイルの提供、Ubuntu認定構成によるLinuxサポートなど、コミュニティとの協働姿勢への言及も目立つ。
その他の発表として、「Whiz Pi 10G Ethernetエクスパンションカード」「Framework Laptop Sleeve」などの周辺アクセサリや、Framework技術を活用した独自開発を促すデベロッパー向けイニシアティブも公開された。各製品の詳細な実機レビューは今後のメディアレポートを待つ段階だ。
日本市場での注目点
Frameworkの製品は現在、主に公式サイト(frame.work)での直販が中心で、日本向けの正式流通はまだ限定的だ。価格の詳細や日本発売時期については、現時点では公式アナウンスを待つ必要がある。ただし、エンジニアやDIY愛好家の間では個人輸入での導入実績もあり、国内コミュニティでの注目度は高い。
オープンソースファームウェアを採用したキーボードとしてはQMK対応機が競合となるが、タッチパッドの一体化・マルチホスト対応・充電池交換という組み合わせは差別化ポイントになりうる。国内市場ではHHKBやRealForce等のプレミアムキーボードと競合しうる価格帯になるとみられるが、カスタマイズ志向のユーザー層とは親和性が高い。
筆者の見解
Frameworkのアプローチには、一貫して「標準的で再現性のある設計」を選びながらも、ユーザーに開放する、という筋の通った哲学がある。オープンソースファームウェアの採用は、ベンダーのサポート終了後もコミュニティが製品を延命させられる可能性を担保するもので、長期的な投資として考えると非常に合理的だ。
交換可能バッテリーの設計思想も同様だ。バッテリー劣化でデバイスごと廃棄するサイクルはコスト・環境の両面で見直されるべき慣行であり、Frameworkのようなアプローチが業界標準に近づいていくことが望ましい。「禁止でなく、使える仕組みで解決する」という姿勢として非常に共感できる。
一点気になるのは、日本での入手性の問題だ。国内でも「触ってみたい」というエンジニアは少なくないはずで、正規販売チャネルの拡充が今後の課題となるだろう。エンジニアや技術系フリーランサーにとっては、現時点でも個人輸入を検討する価値がある製品ラインナップと言える。
出典: この記事は Framework Wireless Touchpad Keyboard announced at Next Gen event with open source firmware の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。