米テックメディア「Tom’s Guide」のジェイソン・イングランド記者によるVITURE共同創業者への独占インタビューで、アメリカのXRグラス出荷台数1位を誇るVITUREが、AIグラス新ブランド「Vonder」を初公開した。CMO兼共同創業者のエミリー・ワン氏が語った内容によると、2026年Q4の発売を予定しており、MetaのRay-Banグラスを強く意識しながらも、全く異なる設計思想で市場に挑む。
なぜVonderが注目されるのか
現在のAIグラス市場はMeta(Ray-Ban Meta)とSnapが牽引しているが、どちらもカメラ搭載・ガジェット感の強いデザインが特徴だ。VITUREはこの「外見から技術製品とわかる」設計に正面から異議を唱えており、Vonderは「AIが眼鏡に溶け込む」という思想で設計されている。同社はXRグラスで長年培ったディスプレイ技術・ソフトウェア・AI統合のノウハウを、日常使いのファッションアイテムに転用するという戦略だ。
またVonderは長期的に、VITUREが得意とするAR技術とAI機能の統合を見据えた布石でもある。今回の発表はSeries B調達時に言及された「コネクテッドライフスタイル技術の新カテゴリ」への具体的な回答と言える。
海外レビューのポイント(Tom’s Guide独占インタビューより)
Tom’s Guideのインタビューでワン氏が強調したのは、現在の市場における2つの本質的な欠陥だ。
プライバシーの問題について、ワン氏は次のように語っている。「現在のAIグラスは周囲の人にカメラを向けており、周りにいる人もそれを知っています。スマートグラスは邪魔にならず見えないと感じられるべきで、テクノロジーがタイムレスなデザインに溶け込むべきです——その逆であってはなりません」。Vonderはカメラが「外界に向いている」という構造そのものを見直す設計が検討されているとみられる。
ファッション性の欠如については、「テクノロジーを身につけていることが誇りに思えるものを作る」という言葉にVITUREの姿勢が端的に表れている。Ray-Ban MetaがRay-Banというブランドを借りて一定のファッション性を確保したのに対し、VonderはVITURE独自のデザインアイデンティティで勝負するとみられる。
現時点では詳細スペック(センサー構成・バッテリー・価格帯)は未公表であり、「どうやってカメラなしでコンテキストを取得するか」という技術的な詳細は今後の発表待ちとなっている。
日本市場での注目点
Vonderの発売は2026年Q4予定だが、日本市場での展開時期・価格・販路はいまのところ未公表だ。競合のRay-Ban Metaスマートグラスは日本での正規販売が限定的で、現状は並行輸入品が主な入手経路となっている。
VITUREのXRグラス(VITURE One、VITURE Pro)は国内でもAmazonや一部家電量販店で入手可能なため、Vonderが同様の国内展開を踏むかどうかが注目点だ。
眼鏡人口が多く、プライバシー意識も高い日本市場は、「カメラ非搭載・ファッション重視」というVonderのコンセプトと親和性がある。一方でAIグラスというカテゴリ自体の認知形成がまだ途上であり、価格帯が普及の大きな分水嶺になるだろう。
筆者の見解
「AIは使っていることを意識させないレベルに溶け込むべき」という考え方は、AI活用の本質に直結していると思う。デバイスを取り出して話しかけ、応答を待つ——というインタラクションモデルからの脱却こそが、ウェアラブルAIが次のフェーズに進む条件だ。その観点からVonderのアプローチは理にかなっている。
プライバシーの問題は特に重い。カメラが常に外界を向いているAIグラスが、日本を含む多くの文化圏で大規模普及する絵が描きにくいのは明らかで、「見えないセンシング」の設計はむしろ遅すぎたくらいだ。
ただし「見えないAIグラス」の最大の技術課題は、カメラなしでどうコンテキストを取得するかにある。音声認識だけでは限界があり、マイクアレイや骨伝導センサー、非可視光センサーの組み合わせが鍵を握るはずだ。2026年Q4のVonder正式発表で、この核心部分がどう解決されているかを最も注目している。
関連製品リンク
Ray-Ban | Meta Smart Glasses Wayfarer, Matte Black/Clear to Graphite Green Transition, L
VITURE One XR Glasses, Black, Smart Glasses, AR/VR Goggles, 120-inch Full HD
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出典: この記事は Exclusive: Viture Co-founders are planning ‘invisible’ AI glasses to rival Meta の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。

