米連邦通信委員会(FCC)は、外国製の消費者向けルーターを禁止する規制の適用範囲を更新し、ポータブルWi-Fiホットスポット(MiFiデバイス)が禁止対象に含まれることを正式に明確化した。テクノロジーメディア「Ars Technica」が2026年4月24日に報じた。

規制の背景:何が禁じられているのか

FCCのルーター禁止令は、トランプ大統領の「安全保障上のリスクがある外国技術の使用削減」指令に基づく措置だ。国防総省または国土安全保障省が安全保障上のリスクなしと判断しない限り、FCCは外国製の新モデルを承認しないというもの。

今回のFAQ更新で明確化された禁止対象デバイスは以下の通りだ。

  • 家庭用のポータブルMiFi/Wi-Fiホットスポット機器
  • リテール販売でエンドユーザーが自己設置する小規模オフィス向けルーター
  • 住宅用のLTE/5G CPE(顧客宅内設備)
  • ISPや業者が設置する住宅用ルーター
  • モデム・ルーター一体型の住宅用ゲートウェイ

逆に対象外となるのは、スマートフォンのテザリング(モバイルホットスポット)機能、企業・産業・軍用機器、フェムトセル、光回線終端装置(ONU)などだ。

Ars Technicaが指摘する「実質全メーカー対象」という現実

Ars Technicaは、業界団体「グローバル・エレクトロニクス・アソシエーション」のレポートを引用し、「ルーター内部のコンポーネントは台湾・韓国・日本・中国などで製造されており、米国企業であれ外国企業であれ、ほぼすべてのルーターメーカーが何らかの免除を取得しなければならない状況にある」と指摘している。つまり、中国系企業だけを狙い撃ちにしているように見えて、実態はグローバルサプライチェーン全体を巻き込む規制となっている。

その中でNetgearは主要メーカーとして初めてFCCから免除(Exemption)を取得し、Amazon傘下のEeroも今週取得に成功した。Ars Technicaによれば、過去にFCCの承認を受けた既存デバイスは、新たな免除なしに引き続き輸入・販売が可能とのことだ。

日本市場での注目点

日本での直接的な法的影響はないが、グローバルサプライチェーンへの波及という観点では無関係ではない。

注目ポイントは3つ:

  • TP-Linkなど中国系メーカーの動向: 米国市場での継続販売が困難になれば、製品ラインナップや価格戦略がグローバルで変わる可能性がある。日本では引き続き選択肢に残るが、長期的なサポート体制は注視したい。
  • ポータブルルーターの入手性: SIMフリーのMiFiルーターは日本でも広く使われる。米国向け免除申請のコストが製品価格や発売タイミングに影響する可能性はある。
  • スマートフォンのテザリングは対象外: 今回の規制でも明確に除外されており、モバイル回線があれば当面の代替手段として問題なく使える点は実用上の重要なポイントだ。

筆者の見解

今回の規制で興味深いのは、「スマートフォンのテザリングは除外」という線引きだ。機能としては同じ「パケット転送」でも、主たる用途と形態によって判断が変わる——この柔軟性は消費者への配慮として現実的な落とし所だと思う。

一方で「道のド真ん中を歩く」観点では、主流メーカーの免除取得済み製品を選んでおけばリスクは最小化できる。ただし、すべてのメーカーが実質的に影響を受けるという現実は、「どこのブランドを買えば安心」という単純な話ではないことを示している。

ネットワーク機器の調達を検討する際、こうした政策的・地政学的リスクを選定基準の一つとして織り込む視点は、企業のIT担当者にとってこれから不可欠になってくるだろう。

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出典: この記事は FCC: Router ban includes portable hotspots, but not phones with hotspot features の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。