米テクノロジーメディアThe Vergeが2026年4月25日に報じたところによると、米国の中古EV(電気自動車)市場が今後3年間で劇的に変化する可能性がある。自動車業界データ会社Cox Automotiveの分析をもとに、ウィークエンドエディターのTerrence O’Brien氏が市場動向を解説している。
なぜこの動きが注目されるのか
EV普及を阻む最大の障壁はコストだ。新車の電動車は同クラスのガソリン車より高価なケースが多く、Consumer Affairsの2024年データでは米国の新車平均価格が約46,992ドル(約700万円)に対し、中古車は27,113ドル(約400万円)と大きな開きがある。中古市場でこの価格差が縮まれば、EV普及のボトルネックが解消される可能性がある。
中古EVが市場に溢れ出す構造的な理由
The Vergeの報道によれば、EVのリース満了台数は以下のように急増する見込みだ。
- 2025年:12万3,000台
- 2026年:約30万台(前年比約2.4倍)
- 2027年:約60万台(2025年比約5倍)
- 2028年:約66万台
3年間の累計では100万台超の中古EVが市場に出回る計算になる。リース車の大半は満了後に中古市場へ流れるため、この台数が供給圧力となって価格を押し下げる。
海外レビューのポイント:「すでに半値以下」の事例も
The Vergeが引用したNew York Timesの報道では、大手ディーラーチェーンAutoNationが走行わずか1万8,000マイル(約2万9,000km)の2023年式ヒョンデ・IONIQ 5を約28,000ドル(約420万円)で販売している事例が紹介されている。この車両の新車時リスト価格は約58,000ドル(約870万円)だったとされ、3年でほぼ半値以下になった計算だ。
ただし、この「お買い得局面」が長続きするかは不透明な面もある。The Vergeの報道によれば、2024年末から2025年末にかけて新車EVの販売・リース台数は前年同期比36%減少しており、2026年第1四半期もさらに落ち込んでいるという。新規リース台数の減少は、将来の中古供給を細らせる可能性がある。
日本市場での注目点
日本国内のEV中古市場は米国と構造が異なるものの、いくつかの点で参考になる。
- 輸入中古EVの流入:米国からの並行輸入中古車が増えれば、テスラModel 3やヒョンデIONIQ 5の中古相場を押し下げる可能性がある
- 国産中古EVの動向:日産リーフの旧世代モデルはすでに中古市場で50万円台から流通しており、航続距離と引き換えに安価なEV入門として選ぶ層が出てきている
- バッテリー劣化の見極めが重要:中古EVを選ぶ際は残存容量の確認が必須。国内でもSOH(State of Health)証明書を提供するディーラーが増えつつある
筆者の見解
EVの価格問題は「新技術だから仕方ない」で済ませてきた部分が大きかったが、今回の動きはその前提を崩しうる。中古市場でガソリン車と同等の価格帯に並んだとき、初めてEVは「選ばない理由がない選択肢」になる。
気になるのは、新車EV販売の失速が中期的な供給を細らせる点だ。今後2〜3年が「構造的な中古EV過剰」の一時的な窓である可能性もある。価格が下がっているうちに購入判断を進める消費者と、様子見を続ける消費者の間で、長期的なランニングコスト差が開いていくことになるかもしれない。
「道のド真ん中」を選ぶなら、実績ある車種・信頼できる販売店・バッテリー保証が揃った中古EVを、適正な下取り交渉のタイミングで押さえることが王道だろう。奇をてらわず、基本に忠実なアプローチが結局は最も再現性が高い。
出典: この記事は An influx of used EVs could drive down prices の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。