BYDのサブブランド「Denza(騰勢)」が、2026年4月に開催された北京モーターショーで電動ハイパーカー「Denza Z」を正式公開した。米テック・ガジェットメディアのEngadgetが報じており、電動モーターで1,000馬力以上を発生し、0〜96km/h(0〜60mph)加速を2秒未満で達成するスペックが明らかになっている。
なぜこの製品が注目か
BYDといえば手頃な価格帯のEVメーカーというイメージが強いが、近年はハイエンド・ハイパーカー市場への参入を本格化している。Denza Zはそのシンボル的存在だ。
1,000馬力超・2秒未満の0〜96km/h加速は、CarNewsChina の報道によるとクロアチアの電動ハイパーカーメーカーRimac Neveraに匹敵するスペックだという。単なるコンセプトカーではなく、量産を前提とした4人乗りの実用ハイパーカーとして設計されている点が特筆される。
さらに注目すべきは「欧州先行発売」という戦略だ。BYDが欧州市場をハイエンドEVの主戦場と位置づけていることがうかがえる。
海外レビューのポイント
現時点では発売前のため実機レビューは存在しないが、Engadget、CarNewsChina、AutoExpressなど複数の海外メディアが公開情報をもとにポイントを報じている。
技術面のハイライト
- DiSus-M インテリジェントサスペンション: Engadgetによると、シボレー・コルベットの「マグネティック・ライド・コントロール」に類似した電子制御サスペンションシステム。路面状況に応じてリアルタイムで減衰力を最適化する仕組みだ
- フラッシュチャージング: BYD独自の超急速充電技術。同社の他モデルでも採用されており、ハイパーカーにもこの利便性が引き継がれる
- 自律走行・タンクターン: AutoExpressの報道では、BYD YangWang U9と同様に自律走行機能と、その場で車体を旋回させる「タンクターン」機能も搭載予定とされている
ボディバリエーション
Engadgetによると、ハードトップ、コンバーチブル、トラック(サーキット特化)の3種類が予定されている。ただし、トラック仕様の詳細スペックはまだ明らかにされていない点は留意が必要だ。
気になる点
フルスペックの非公開が続いており、価格・航続距離・最高速度などの主要諸元が不明なままだ。欧州発売を控えた時点でここまで情報が限られているのは、発表タイミングを計算したメディア戦略とも読める。
日本市場での注目点
Denzaブランドは現時点で日本に上陸していない。BYD JAPANは「Atto 3」「Dolphin」「Seal」といった普及価格帯のEVを展開しているが、Denzaのようなプレミアムラインの日本投入時期は未定だ。
参考として、BYDの別ハイパーカーブランドYangWang U9は生産台数30台限定の超希少モデルだった。Engadgetは「Denza ZはYangWang U9より入手しやすくなる」と報じているが、具体的な価格帯はまだ発表されていない。
欧州のGoodwood Festival of Speed(2026年7月予定)がグローバルデビューの場になる見通しで、そこで価格・スペックの詳細が明らかになる可能性が高い。日本市場への関心がある方は7月の発表に注目しておきたい。
筆者の見解
BYD Denza Zが示しているのは、「EVは安くて実用的なもの」という従来のイメージを塗り替えようとする中国EV産業の変容だ。1,000馬力超・2秒未満の加速は、テクノロジーのショーケースとして明確なメッセージを持つ。
興味深いのは「欧州ファースト」という販売戦略だ。EV補助金の見直しや関税問題で欧州市場が複雑さを増しているなかで、あえてプレミアムセグメントから欧州に切り込む姿勢は計算された動きに見える。ハイパーカーはブランドイメージを高めるための投資でもあり、「BYD=高性能」という認知を欧州市場で先に確立しようとしているのだろう。
技術面では、DiSus-Mサスペンションやフラッシュチャージングなど、BYDの自社技術スタックをフル活用している点は注目に値する。垂直統合型のものづくりが高性能領域でも機能することを証明しようとしている意図が読める。
タンクターンや自律走行機能の実装がどの程度成熟しているかは、Goodwoodでの公式デビュー後に実機インプレッションが出そろった段階で改めて評価したい。
出典: この記事は BYD’s next all-electric hypercar is a convertible that’s coming to Europe first の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。