米テックメディア「Tom’s Guide」のライター、Amanda Caswellが2026年4月25日、OpenAIの「ChatGPT-5.5」とAnthropicの「Claude Opus 4.7」を7項目の難問テストで徹底比較した検証記事を公開した。論理・確率・物理推定・高度数学など多岐にわたる課題で実力を測った結果、Claude Opus 4.7が全7問で勝利という驚きの結末となった。
なぜこの対決が注目されるのか
両モデルはほぼ同時期にリリースされた各社の最上位モデルだ。ChatGPT-5.5はより高速な応答と実用的なタスク実行を重視した設計、Claude Opus 4.7は深い推論・長文コンテキスト処理・精緻な出力に注力した設計とされており、それぞれ異なる「AI像」を追求している。どちらも「これまでで最も高性能」とうたう最新版であるだけに、その実力差を客観的なテストで測る試みはAI活用を検討する技術者や企業担当者にとって見逃せない情報だ。
海外レビューのポイント
Tom’s Guideのレビューでは、一部の問題をGoogle Gemini 3.1 Proの協力を得て設計したという。問題の中には「人間でも正答するのが難しい」レベルのものも含まれており、スピードではなく正確さと思考の深さを重視した評価設計になっている。
テスト1:条件付き確率
「公平なコイン・偏りのあるコイン(P(表)=0.7)・2面表コインの3枚から1枚をランダムに選んで3回投げ、すべて表だった。次の投げでも表になる確率は?」という問いでは、両モデルとも約0.8874という正解値に到達した。しかしレビュアーの評価ではClaude Opus 4.7が「分数による一般式の導出まで示した」点で上回り、数学的厳密性を内部検証した形になっているとされる。ChatGPT-5.5は「整然としたレイアウトで手順を丁寧にまとめた」点は高評価だったものの、この深さには届かなかった。
テスト2:物理的推定
「全人類8億人が同時にジャンプしたら地球の自転周期はどう変わるか」という推定問題も出題された。フェルミ推定的な思考が求められるこの問いでも、推論の展開という観点でClaude Opus 4.7が評価を得た。
全体評価
Tom’s Guideのレビューによると、ChatGPT-5.5は「読みやすさ・構造の明快さ」では優れており、実務的な用途での素早いアウトプットに向いた設計が見える。一方でClaude Opus 4.7は「数学的厳密性の検証・ショートカット式の提示」など、思考過程の深さと自己検証の丁寧さが7問通じて評価されたとされる。
日本市場での注目点
- ChatGPT-5.5:OpenAIの有料プラン(ChatGPT Plus)で利用可能。月額約3,000円前後(為替変動あり)
- Claude Opus 4.7:AnthropicのClaude Proプランで利用可能。価格帯はChatGPT Plusと同水準
- 両サービスとも日本語対応しているが、今回のテストは英語前提で設計されている点に注意が必要。日本語タスクでの差異は別途検証の余地がある
- 企業利用ではAPI提供もあり、業務自動化や社内ツール構築への応用が国内でも広がっている
筆者の見解
Tom’s GuideのAmanda Caswellによるこのテストは興味深い試みだが、7問という限られたサンプルで「完封勝利」という見出しを立てることには、読者として少し慎重に受け取りたい。AIの性能評価は問題設計の前提に強く依存するからだ。
ただ、今回の結果が示しているものは見落とせない。それは設計思想の違いだ。「速さと読みやすさ」と「深さと厳密さ」——どちらが正解ではなく、目的に応じた選択の問題だ。迅速なドラフト作成や情報整理には前者が向き、複雑なロジック検証や多段階推論には後者が向く場面もある。
AIツールの評価で筆者が常に重視するのは、「ベンチマーク記事を追いかけるより、自分の業務課題で実際に使ってみる」ことだ。どちらが優れているかという問いよりも、自分のワークフローに最も溶け込むのはどちらかを試すことの方が、長期的に見て価値が高い。
もう一点、今後のAI評価で欠かせない視点として、自律的なマルチステップ実行での性能差がある。単発の質問応答だけでなく、複数ステップにわたるタスクをどこまで自律的に遂行できるか——この観点での比較がより実務的な選択基準になるはずだ。今後こうした視点からの評価が増えることを期待したい。
出典: この記事は 7-0 wipeout: I put ChatGPT-5.5 vs Claude 4.7 through 7 impossible tests — and the results shocked me の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。