Engadgetが2026年4月23日に報じたところによると、X(旧Twitter)はグループ機能「Communities」を2026年5月30日をもって正式に廃止する。X製品責任者のNikita Bier氏が公式アカウントで発表した。

Communitiesとはどんな機能だったのか

Communitiesは、Twitterがイーロン・マスク氏による買収・X改称以前に導入した機能で、特定のテーマに関心を持つユーザーが集まり、専用フィードを共有できる「XのSubreddit的存在」として設計されていた。参加者は自分の興味分野だけのタイムラインを持てる点が特徴で、趣味・業界・技術など多様なコミュニティが形成された。

廃止の理由——数字が語る「失敗の構造」

Engadgetによると、Bier氏はXへの投稿でその理由を率直に説明した。

「Communitiesは素晴らしいビジョンを持っていたが、実際に使っていたのは全ユーザーの0.4%未満だった。それにもかかわらず、X上のスパム報告・金融詐欺・マルウェアの80%に関与していた。週によってはチームの半分の時間をこの機能の対応が占め、アプリの他の部分が犠牲になった。」 Bier氏はさらに、実際にアクティブだったグループの多くは「Kickのユーザー獲得チャンネルや報酬付きのクリッパーコミュニティ」であり、本来の利用目的とはかけ離れたものだったと指摘している。

理念と現実の乖離がここまで数値で可視化された機能廃止の事例は珍しく、SNSプラットフォーム設計の難しさを示す典型例と言えるだろう。

移行先——XChatとカスタムタイムライン

XはCommunitiesの後継として、主に2つの機能を提示している。

XChat(グループチャット) 現在1グループあたり最大350人まで対応しており、将来的には1,000人規模まで拡張予定とのこと。Communitiesのモデレーターは移行期間中にXChatへの参加リンクを固定投稿できるため、5月30日の廃止前にメンバーを誘導することが可能だ。

カスタムタイムライン Grokを活用して、食・アート・写真など特定テーマの投稿を自動的にまとめたフィードを生成する機能。興味関心ベースのタイムラインという意味では、Communitiesの「フィード体験」を引き継ぐ位置づけだ。

ただし、Engadgetも指摘しているように、グループチャットはリアルタイムの注意を要求するインタラクティブな場であり、Communitiesが提供していた「非同期・専用タイムライン」という体験とは本質的に異なる。チャットはその性質上、常に応答を求め続ける設計だ。

日本市場での注目点

Xの日本ユーザー数は世界でも有数の規模を誇り、ニッチな趣味・技術・アニメ・地域情報など多彩なCommunitiesが形成されていた。5月30日までの移行猶予はあるが、コミュニティ管理者は早急にXChatへの参加リンクを共有するか、他プラットフォーム(Discordなど)への誘導を検討することが求められる。

カスタムタイムライン機能は日本語コンテンツに対するGrokの処理精度が鍵となる。英語中心に最適化されたAIモデルが日本語フィードをどこまで正確にキュレーションできるかは、引き続き注視が必要だ。

筆者の見解

Communitiesの廃止が示すのは、「良いビジョンだけでは機能は生き残れない」というシンプルな真実だ。利用者0.4%・スパム貢献80%という非対称な数字は、設計意図がどれほど正しくても、悪意あるアクターに構造的に利用されやすい設計であれば機能そのものが毒になり得ることを証明している。

XChatへの移行については、率直に言えば「非同期フィードとリアルタイムチャットは別物」という問題は解決されていない。Communitiesが担っていた「掲示板的な情報蓄積」の体験は、グループチャットでは再現しづらい。カスタムタイムライン機能がその代替になり得るかは、Grokの精度と日本語対応の向上にかかっている。

より広い文脈で見れば、XはここでもSubreddit的な非同期コミュニティ空間の構築に失敗したことになる。その需要が消えたわけではなく、満たされる場所が変わるだけだ。コミュニティ管理者にとっては、プラットフォーム依存のリスクを再確認する機会と捉えたい。


出典: この記事は X is shutting down its Communities feature の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。