Google Cloud Next(4月22〜24日開催)において、GoogleはWorkspaceの大規模なアップデートを発表した。Tom’s GuideのElton Jones氏の報道によれば、その中でも特に注目を集めたのがGoogle Meetの「Take Notes for Me」機能の大幅な進化だ。これまでオンライン会議専用だったこのAIノートテイキング機能が、対面(フィジカル)会議にも対応することが明らかになった。

「Take Notes for Me」とは何か

Googleの公式発表によると、「Take Notes for Me」はすでに1億1,000万人以上のユーザーが試したという実績を持つ機能だ。オンライン会議中の会話を自動で文字起こし・要約し、Google Docsに保存してくれる。今回のアップデートで、その対象がリアルな場での会話にまで広がる。

使い方はシンプルだ。スマートフォンまたはデスクトップのGoogle Meetホーム画面から「Take Notes for Me」をタップするだけで、Google Geminiが周囲の会話をキャプチャし、ノートを生成してGoogle Docsファイルに自動保存される。

対応言語とリリーススケジュール

Tom’s Guideの報道によると、対応言語は英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語の8言語(同時処理は1言語のみ)。日本語が正式サポートに含まれている点は、日本のビジネスユーザーにとって見逃せない。

展開スケジュールについては、現時点でAndroidデバイスが先行対応。iPhone/iPadおよびウェブブラウザへの対応は近日中に予定されている。利用可能なプランはBusiness Standard・Business Plus・Enterprise Standard・Enterprise Plusに限定されており、現在はアルファプログラムの段階にあるため、企業の管理者がアクセスを有効化する作業が必要になる場合もある。

海外レビューのポイント

Tom’s Guideの報道では、今回の機能について「最も注目を集めた発表」と評価している。注目点として挙げられていた点は以下の通りだ。

良い点

  • オンライン会議に限らず、物理的な会議室での会話もAIが処理できるようになった
  • Google Docsへの自動保存により、議事録配布までの工程が省略される
  • 1億1,000万人という既存ユーザー基盤が示す需要の大きさ

気になる点

  • 現時点はアルファ版であり、管理者による有効化が必要
  • Android先行でiOS・ウェブ対応は「近日予定」にとどまる
  • 1言語のみの同時処理という制限

その他のWorkspace新機能(Cloud Next発表分)

Googleは同イベントで、他にも複数のWorkspace強化を発表している。

  • Sheetsキャンバス: ダッシュボード、ヒートマップ、かんばんボードなどのインタラクティブなビジュアライゼーションを作成・共有可能に
  • Workspace Studio「スキル」: 請求書レビューの自動化など、繰り返し業務を処理するカスタムワークフロー設定
  • カスタムアバター: 会社ロゴや背景などのブランド要素の追加
  • Gemini Enterpriseアプリ: Google Calendarの会議スケジュール設定、DocsやSlidesの作成・編集をアプリ内から直接実行

日本市場での注目点

Google WorkspaceはGSuiteからの移行も含め、すでに日本企業で広く使われている。Business Standard以上のプランを契約している組織であれば、追加費用なしで利用できる点は導入ハードルが低い。

日本語が対応言語に明記されている点は実用上重要で、社内ミーティングや顧客訪問時のメモ作成に活用できる可能性がある。ただし、アルファ版段階での精度——とくに日本語特有の敬語表現や専門用語への対応——については、実際のビジネス用途で確認が必要だろう。

競合としては、Microsoft 365のCopilotがTeamsを中心に会議の文字起こし・要約機能を提供しているが、対面会議への対応という点では今後の差別化ポイントになり得る。

筆者の見解

今回の機能が本質的に面白いのは、「オンラインだけ」という制約を撤廃して、物理空間での会話もAIの処理対象にした点だ。議事録作成という誰もが煩雑に感じる作業を自動化する方向性そのものは、理にかなっている。

1億1,000万人という数字が示す通り、「認知負荷を削減するAIツール」への実需は確実に存在する。その意味でGoogleのアプローチは正しい。ただし、アルファ版・Android限定という現状からわかるように、「正式発表はした、実運用はこれから」という段階だ。

日本の企業管理者としては、アルファアクセスを申請して小規模なパイロット運用から始めるのが現実的な判断だろう。特に、日本語での議事録の品質——固有名詞・専門用語・話者分離の精度——は実際に確認しないとわからない部分が大きい。期待値を持ちつつも、本格展開は正式リリース後の評価待ちが妥当な構えだ。


出典: この記事は Google Meet’s AI note-taking feature can now summarize your in-person meetings — here’s how it works の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。