Engadgetが2026年4月23日に報じたところによると、トルコ議会は15歳未満の子どもによるSNS利用を全面禁止する法案を可決した。エルドアン大統領が15日以内に署名すれば正式に施行される。
なぜこの法案が注目されるのか
この法案が成立した背景には、トルコで相次いだ2件の学校銃乱射事件がある。AP通信(Associated Press)の報道によれば、事件後に現場の映像をSNS上に投稿したとして162人が逮捕された。エルドアン大統領はテレビ演説でSNSプラットフォームを「下水溜め(cesspool)」と呼び、強い規制姿勢を明確にしている。
法案には規制を実効的にするための技術的義務も含まれている。SNSプラットフォームには以下が求められる。
- 年齢確認の強化:アプリ上での本人確認機能の実装
- ペアレンタルコントロールの提供:保護者が子どものアカウントを管理できる仕組み
- 有害コンテンツへの迅速な対応:削除・通報への応答速度向上
AP通信はさらに、主要SNSだけでなくオンラインゲーム会社にも未成年者向け制限の導入が義務付けられると報じている。違反した場合は帯域幅の削減や罰金などの制裁が科される。
Engadgetが伝えたトルコの規制史
Engadgetは今回の法案を、トルコが重ねてきた規制の文脈で報じている。
- 2024年:ハマス関連コンテンツをめぐる争いでInstagramを一時ブロック(約1週間後に解除)
- 2024年:未成年への性的コンテンツ問題を理由にRobloxを禁止
- 2023年:大地震後にTwitter(現X)を一時的に遮断
- 過去複数回:Twitterを断続的にブロック
Engadgetの報道が示す通り、トルコは「規制を実行に移す意志と実績を持つ国」として国際的に注目されている。
日本市場での注目点
今回のトルコの動きは、世界的な子どものSNS規制の潮流と完全に一致している。
国・地域 規制内容
オーストラリア 16歳未満のSNS禁止(世界初、2024年)
ギリシャ 15歳未満のSNS禁止
オーストリア 14歳未満のSNS禁止を追求中
英国 16歳未満への厳格な制限を検討中
トルコ 15歳未満のSNS禁止(大統領署名待ち)
日本では現時点で同等の法律は存在せず、SNS各社の自主規制や保護者の管理に委ねられているのが現状だ。しかし海外での立法化が相次げば、国内でも議論が加速する可能性は高い。年齢確認の実装においても、個人情報保護との兼ね合いやマイナンバーカードとの連携可能性など、日本固有の課題が浮上するだろう。
筆者の見解
「禁止すれば解決する」という発想は、現実には機能しにくい。Engadgetが別の報道で取り上げているように、オーストラリアが16歳未満を禁止してもなお大半の子どもたちがSNSを利用し続けているという調査結果がある。抜け穴は必ず生まれる。
より根本的に必要なのは、プラットフォーム側が子どもの安全を設計の中心に置くことだ。年齢確認・ペアレンタルコントロール・有害コンテンツへの迅速な対応——これらは本来、法的強制力を待つまでもなく整備すべき基本機能のはずである。法律が先に来なければ動かないという現状は、プラットフォームへの社会的信頼が揺らいでいることを如実に示している。
日本のIT業界にとってもこの潮流は他人事ではない。子ども向けサービスを展開する企業はもちろん、B2C向けのあらゆるプラットフォームが安全設計と年齢確認を問われる時代が来ている。「規制が来る前に備える」姿勢こそが、今後のプラットフォーム事業者に求められる責任ある行動だろう。
出典: この記事は Turkey wants to ban social media for kids under 15 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。