Shokz(旧AfterShokz)が、CES 2026でデビューさせたフラッグシップオープンイヤーイヤホン「OpenFit Pro」の本格展開を開始した。Shokz公式ブログおよびプレスリリースによると、本製品は開放型イヤホンとして世界初となるノイズリダクション機能を搭載した意欲作であり、CES Innovations Awards® 2026の「Honoree(優秀賞)」を受賞している。
なぜ今、開放型イヤホンにノイズリダクションなのか
従来、ノイズキャンセリング(ANC)はイヤーチップで耳道を密閉するインイヤー型の専売特許とされてきた。耳を塞がない開放型は周囲音の認知を保てる反面、騒がしい環境での通話品質や集中力の確保に課題があった。Shokzはこれを「Open-Ear Noise Reduction」と銘打った独自アプローチで解決しようとしている。
ポイントは、密閉せずに騒音だけを選択的に抑制するという設計思想だ。耳への圧迫感がなく、交通音や呼びかけなど危険に関わる音も聞き取れる安全性を維持しつつ、カフェや職場の環境音はカットする——というバランスを狙っている。
Shokz公式情報が示す主な技術仕様
Shokz公式ブログが公開した情報によると、OpenFit Proの主要スペックと機能は以下のとおり。
AIトリプルマイクによるノイズリダクション
3基のマイクを戦略的に配置し、複数の角度から環境ノイズを捕捉。専用アルゴリズムがリアルタイムで不要な音を処理し、最大99.4%のノイズカットを実現するとされる。ノイズリダクションレベルはユーザーが手動調整可能で、周囲音認知の度合いを自分でコントロールできる。
SuperBoost™ドライバーとDolby Atmos対応
11×20mmの超大型デュアルダイアフラムドライバー「Shokz SuperBoost™」を搭載。開放型でありながら深みのある低音と滑らかな高音を両立し、歪みのない再生を謳う。さらにDolby Atmos最適化により、空間的な広がりと楽器定位の精度向上が期待できる。
EQカスタマイズと音漏れ対策
5つのプリセットEQ(Standard / Vocal / Bass Boost / Treble Boost / Private)に加え、10バンド調整可能なカスタムEQ 2枠を用意。また「DirectPitch™ 3.0」テクノロジーが逆位相音波を活用して音漏れを低減し、開放型の弱点をカバーしている。
接続・バッテリー・耐久性
- Bluetooth 6.1(最新規格)
- IP55防水防塵
- 最大50時間バッテリー(イヤホン単体+充電ケース込み)
- USB-C充電対応
Bluetoothが6.1に達したことで、接続安定性や省電力性能の向上も期待できる。
想定用途:ランナー・オフィス・ホームジム
Shokzは想定ユースケースとして、インドアフィットネス(筋トレ・ハイブリッドトレーニング)、オフィス・カフェ・ホテルなど様々な作業環境、そして自宅やハイキング中のリラックスリスニングを挙げている。骨伝導技術を軸に「ランナー向け」ブランドイメージを確立してきたShokzが、今回は通常のオープンイヤー設計でオフィスユーザー層にも積極的に打ち出している点が興味深い。
日本市場での注目点
価格・発売時期については、現時点(2026年4月)でShokz日本公式サイトに詳細は掲載されていないが、グローバルでの価格は約$179(参考)とされており、国内ではShokz直販サイトやAmazon.co.jpの正規販売ルートからの入手が見込まれる。
競合との比較で見ると、同じ開放型イヤホン市場ではソニー「LinkBuds」シリーズやアップル「AirPods 4(開放型モデル)」が競合として挙げられる。しかし開放型でのノイズリダクション機能という切り口では、現時点でOpenFit Proに直接匹敵するスペックを持つ製品は見当たらない。特にIP55防水と50時間バッテリーの組み合わせは、スポーツユーザーへの訴求力が高い。
日本では骨伝導イヤホン市場でのShokzの知名度は高く、既存ユーザーのアップグレード需要も見込める。耳を塞がないことを職場の安全衛生上の理由でポリシー化している企業も存在しており、そういった環境でのビジネス利用にも訴求できるポジショニングだ。
筆者の見解
「開放型にノイズリダクション」は、相反する二つの要素を同時に実現しようとする挑戦的な試みだ。技術的なアプローチの面白さは確かにある。ただし、Shokzの公式情報では「最大99.4%カット」という数字が一人歩きしている点は冷静に見ておく必要がある。インイヤー型のANCと同等の体験を期待して購入した場合、特に低周波騒音の遮断性能については期待値を調整しておいたほうが賢明だろう。独立した第三者レビューが出そろった段階で、その数字が実環境でどの程度保たれるか注目している。
一方、「周囲音認知を保ちながら集中できる環境を作る」という需要は確実に存在する。特にランニング中の安全性を重視しつつ音楽を楽しみたいユーザー、オープンスペースのオフィスで耳を塞がずに作業に集中したいビジネスパーソンには、試してみる価値のある選択肢だと思う。Bluetooth 6.1の採用や50時間バッテリーなど、スペック面での本気度は伝わる製品だ。
関連製品リンク
SHOKZ (ショックス) OpenFit Air Open-Ear Earphones Wireless Earphones
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出典: この記事は Shokz OpenFit Pro: World’s First Open-Ear Headphones with Noise Reduction, 50-Hour Battery の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。
