Azure Application Gateway V1の廃止期限が今週2026年4月28日に迫っている。3年前に廃止アナウンスが出てから時間はあったはずだが、まだV2への移行が完了していない組織にとっては、今この瞬間が最後のチャンスだ。期限を超えると稼働中のV1ゲートウェイはAzureによって強制停止される。本番サービスへの直接的な影響が想定されるため、担当者は今すぐ状況を確認してほしい。
Application Gateway V1廃止の経緯と現在地
Microsoftは2023年4月28日にV1の廃止を正式アナウンス。段階的な廃止スケジュールは次の通りだ。
日付 内容
2023年4月28日 廃止アナウンス・V1購読の新規受付停止
2023年7月1日 V1未使用のサブスクリプションへのV1デプロイ禁止
2024年9月1日 全顧客向けV1の新規作成完全停止
2026年4月28日 稼働中のV1デプロイをすべて強制停止
廃止後(時期未定) V1リソースの削除
廃止後はパッチ提供・テクニカルサポート・SLAがすべて終了する。停止状態に置かれたV1ゲートウェイは、その後Microsoftによって削除されるスケジュールも別途通知される予定だ。
V2への移行で何が変わるか
Application Gateway V2はV1と比べて多くの点で強化されている。
パフォーマンス面
- 自動スケーリング(Auto Scaling)により、トラフィック増減に自動で追従
- ゾーン冗長性(Zone Redundancy)により、データセンター障害への耐性が向上
- 起動時間の大幅短縮(数分→数秒レベル)
セキュリティ面
- WAF(Web Application Firewall)ポリシーの柔軟な設定
- マネージドルールセットの自動更新
- Private Link統合によるバックエンド接続のセキュリティ強化
運用面
- Key Vault統合による証明書管理の自動化
- Azure MonitorおよびApplication Insightsとの統合強化
V2への移行は公式ドキュメントの「Migrate Azure Application Gateway and Web Application Firewall from V1 to V2」に手順が整理されている。MicrosoftはCSA(クラウドソリューションアーキテクト)やCSAM(カスタマーサクセスアカウントマネージャー)との連携も推奨しており、技術的な質問はMicrosoft Q&Aやメールサポートでも受け付けている。
実務への影響——日本のエンジニア・IT管理者が今すぐやること
Step 1: V1の棚卸し(今日中) Azure Portalで「Application Gateway」を検索し、V1(SKU: Standard/WAF)が残っていないかすべてのサブスクリプションを横断的に確認する。複数サブスクリプションを持つ大企業では、見落としリスクが高い。2023年に送付されたMicrosoftからの廃止通知メールも合わせて確認したい。
Step 2: 移行計画の即時立案 V1が見つかった場合、まず「そのゲートウェイが何のために使われているか」を把握する。バックエンドプールの構成・リスナー設定・WAFポリシーをドキュメント化してからV2への移行作業に入る。
Step 3: 移行後の動作検証 V2はIPアドレスが変わるため、DNS設定の切り替えとTTLの設計が重要になる。ブルーグリーン方式で一時的にV1とV2を並走させながら検証期間を設けることが望ましい。
Step 4: コスト試算 V2はV1と課金モデルが異なり(固定時間課金+容量ユニット課金)、構成によっては費用が変化する。移行前に価格計算ツールで試算しておくと予算確保がスムーズになる。
筆者の見解
3年間の猶予期間が設けられた今回の廃止は、Microsoftとして丁寧なアナウンスだったと思う。2023年にメール通知を送り、段階的に機能を絞り込みながら組織に移行の機会を与え続けた。この手順自体は評価できる。
ただ、日本の大規模エンタープライズ環境では「動いているから触らない」という運用文化が根強く、こうした廃止スケジュールが現場に届いていないケースが少なくない。今週の強制停止で初めて事態に気づく、という組織が出てこないことを願うばかりだ。
技術的な観点では、V2への移行は単なる「置き換え」ではなく、インフラ設計を見直す好機でもある。自動スケーリングとゾーン冗長性を前提にした設計に改めることで、可用性とコスト効率が同時に改善する。「移行のコストが惜しい」と感じる気持ちは理解できるが、V1を引きずり続けることのリスク(無サポート・無SLAでの本番稼働)のほうがはるかに高い。
Azureはプラットフォームとしての進化を止めていない。古い世代のリソースを整理しながら新しい機能を磨き続けるこのサイクルは、長期的に見てユーザーにとっての利益になる。V2への移行を終えた先に、より安全で運用しやすい環境が待っている。今週を乗り越えるための最後の一押しとして、ぜひ今日中に棚卸しから始めてほしい。
出典: この記事は Application Gateway V1 will be retired on 28 April 2026 – Transition to Application Gateway V2 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。