米メディア・Tom’s GuideのKaycee Hill氏が、Chromeのプライバシー問題と具体的な対策設定を解説した記事を公開した。「シークレットモードなら安全」と思っているユーザーにとって、見過ごせない内容だ。
なぜこの問題が今注目されるのか
2024年に明らかになった集団訴訟で、GoogleがChromeのシークレットモードでも閲覧データを収集していたことが裁判資料によって浮き彫りになった。Googleはこの訴訟で収集済みデータを削除することで和解したが、Hill氏は「収集を完全に止めた保証はない」と指摘している。
Chromeのデフォルト設定はプライバシー保護よりデータ収集側に傾いており、ほとんどのユーザーが触れることのない設定画面に多くのトラッキング機能が潜んでいる。
Tom’s Guideが推奨する5つの設定変更
1. 使用状況トラッキングをオフ
「設定」→「あなたとGoogle」→「同期とGoogleサービス」→「Chromeの機能とパフォーマンスを改善する」をオフにする。クリックした機能・ページ読み込み時間・インストール済み拡張機能などの行動プロファイルが収集されている。
2. 広告トラッキングとパーソナライゼーションを制限
「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「広告プライバシー」で「広告トピック」「サイト提案広告」「広告の測定」の3つをすべてオフにする。Googleの収益の根幹に直結する設定であり、デフォルトでは有効になっている。
3. 閲覧履歴トラッキングを制限
「同期とGoogleサービス」内の「検索とブラウジングの改善」をオフにする。シークレットモード中であっても訪問サイトが記録される問題への直接的な対策だ。
4. 強化スペルチェックをオフ
Hill氏が特に注目しているのがこの設定だ。有効のままにすると、すべてのウェブサイトで入力した内容がGoogleのサーバーに送信される。パスワードや個人情報を入力する場面でも例外ではない。「同期とGoogleサービス」内から無効化できる。
5. 広告ブロッカー拡張機能の導入を検討
設定変更だけでは不十分な場合、広告ブロッカー拡張機能が有効だ。ただしHill氏は「GoogleがChromeアップデートで広告ブロッカーの機能を意図的に壊すことがある」と注意を促しており、必要に応じてブロッカーを切り替える覚悟が必要と述べている。
日本市場での注目点
日本でも2022年の個人情報保護法改正以降、データ取り扱いへの関心が高まっている。ChromeはPC・スマートフォンともに国内シェアが高く、今回の設定変更は多くのユーザーに直接関係する。
代替ブラウザとしてはBrave(デフォルトでトラッキングブロック有効)、Firefox(豊富なプライバシー拡張)、Microsoft Edge(エンタープライズ環境での管理しやすさ)などが選択肢に挙がる。企業のIT管理者にとっては、ポリシー配布でこれらの設定を一括制御できるかどうかも検討ポイントになるだろう。
筆者の見解
この件が改めて示しているのは、「インコグニートモード=匿名」という誤解の根深さだ。セキュリティにおいて、誤った安心感ほど危険なものはない。
Hill氏の紹介する5つの設定変更は現実的な対策だが、これで完全にトラッキングを止められるわけではない。Googleのビジネスモデル自体がデータ収集に依存している以上、Chromeを使い続ける限り一定の情報提供は避けられない構造だ。
実践的な対応として重要なのは、「何を諦めて何を守るか」を自分で判断することだ。仕事の調査と個人的なリサーチでブラウザを使い分ける、機密性の高い入力が必要な場面では別ブラウザを使う、といった運用の工夫が設定変更と同じくらい効果的だと考える。
まずは今回紹介した5つの設定を確認してみてほしい。特に「強化スペルチェック」は知らずに有効にしているユーザーが多いはずで、確認する価値は高い。
出典: この記事は Chrome tracks you even in incognito mode — change these 5 settings to fight back の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。