中国国営メディアCGTNの報道によると、Huaweiは4月20日、広州で開催した製品発表イベントにおいて、フラッグシップスマートフォン「Pura 90」シリーズ3モデルと、同社が「業界初の横型ワイド折りたたみ」と位置づける「Pura X Max」を正式発表した。日本ではほとんど報じられていないが、カメラ技術と自社チップの進化という観点で注目に値する発表だ。

Kirin 9030S——自社開発チップが示す本気度

Pura 90 ProおよびPura 90 Pro Maxには、Huawei自社開発の「Kirin 9030S」が搭載される。CGTNの発表内容によれば、同チップはNPUによる画像処理能力を前世代比200%向上させ、AI ISPによる望遠動画のクリアさを110%改善、望遠手ブレ補正精度を30%高めたとされている。

Huaweiが米国の輸出規制により先端半導体の調達を制限される中でも、自社設計チップの性能向上を続けていることは注目に値する。どのプロセスノードで製造されているかは明示されていないが、AI処理能力の数値は着実な進化を示している。

2億画素望遠センサーと「10メートル音声収録」機能

CGTNの報道によると、上位モデルのPura 90 Pro Maxには2億画素の望遠センサーが搭載され、さらに10メートル先の音声を収録できる「長距離音声強調」機能が新たに加わった。

望遠センサーの高画素化はスマートフォンカメラの主要トレンドとして定着しているが、音声収録機能の強化は珍しい方向性だ。動画撮影やスポーツ観戦など、離れた場所の音を拾いたいシーンでの実用性を意識した機能と読み取れる。実際の音質や有効距離については、今後の独立したレビューによる検証が待たれるところだ。

ラインナップと価格

CGTNが報じた価格は以下の通り。

モデル 価格(人民元) 参考(USD換算)

Pura 90(標準) 4,699元〜 約689ドル〜

Pura 90 Pro 5,499元〜 約805ドル〜

Pura 90 Pro Max 6,499元〜 約952ドル〜

前世代「Pura 80」シリーズから価格据え置きとなっている。ただし、同社のYu Chengdong氏(消費者事業グループ会長)は、ストレージ等主要部品のコスト上昇が価格に圧力をかけており、将来的な値上げの可能性を否定しなかったと同メディアは伝えている。

全モデルに最新OS「HarmonyOS 6.1」が搭載され、ビジュアルデザイン・ユーザーインタラクション・プライバシー機能が刷新された。

横型折りたたみ「Pura X Max」の意義

Huaweiが「業界初」と称する横型ワイド折りたたみ「Pura X Max」は、縦折りや縦長折りたたみが主流の市場において差別化を図る製品だ。詳細スペックや価格はCGTNの記事では限定的であり、現時点では独立したレビューも出ていない。形状の特徴から、動画視聴や外付けキーボードとの組み合わせ利用を想定した設計と推測されるが、実用性の評価は今後の検証次第だ。

日本市場での注目点

Pura 90シリーズは現時点で中国市場向けの発表であり、日本での正規販売は予定されていない。Huaweiスマートフォンは米国輸出規制の影響でGoogleサービス(Playストア、Gmail、Maps等)を搭載できないため、日本ユーザーにとってのメイン端末としての実用性は限られる。

一方、カメラ技術・チップ技術の進化という観点では、競合他社(サムスン、Apple、Googleなど)の開発競争に影響を与えるベンチマークとして参照価値がある。特に望遠カメラ性能の向上は、Galaxy S25 UltraやiPhone 16 Pro Maxとの比較軸として業界内で語られることになるだろう。

日本で入手するとすれば海外通販や並行輸入になるが、Googleサービス非対応の制約を理解した上での購入判断が必要だ。

筆者の見解

HuaweiのPura 90シリーズで最も注目すべきは、製品のスペックよりも「Kirin 9030Sの継続的な進化」という事実そのものだと筆者は見ている。

米国の制裁によって先端チップ調達が困難な状況にもかかわらず、NPU処理能力を200%向上させたと主張できる水準を維持しているのは、自社設計・自社最適化の底力を示している。スペック数値の独立検証はこれからだが、少なくとも「制裁によってHuaweiの技術開発が止まった」という見方は修正が必要だろう。

カメラ技術に関しては、2億画素望遠センサーや音声収録機能の強化など、ハードウェア差別化の方向性は明確だ。ただし、こうした機能が「実際に使われるシーン」でどれだけ差を生むかは、数字だけでは判断できない。日本市場向けに販売されない以上、日本のユーザーが直接恩恵を受ける機会は限られるが、スマートフォンのカメラ性能競争がまだ伸びしろを持っていることを示す事例として、業界全体に刺激を与える発表であることは確かだ。

折りたたみ市場における「横型ワイド」という新しいフォームファクターへの挑戦は興味深い。ただし、フォームファクターの斬新さがユーザーにとっての実用価値に直結するかどうかは、あくまで使い込んでみてわかること。現時点では「独自路線の実験」という評価にとどめておくのが妥当だろう。


出典: この記事は Huawei launches Pura 90 smartphone series, new foldable device の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。