Windows 11のスタートメニューに対してユーザーから寄せられてきた根強い不満に、Microsoftがついて正面から向き合う姿勢を見せた。同社のデザイン部門のパートナーディレクターであるMarch Rogers氏がX(旧Twitter)上で、スタートメニューの追加カスタマイズオプションを現在開発中であると明言した。

何が変わるのか

Rogers氏の発言は端的だ。「お客様の声を聞き、アプリへのアクセスを改善した。現在、さらなるカスタマイズオプションを開発中だ」。具体的な機能の詳細は明かされていないが、同氏は以前から社内で検討されていた複数のスタートメニューデザイン案(プロトタイプ)も合わせて共有した。

今回の発表の背景にあるのは、Windows 11に導入された「カテゴリ」機能への強烈な反発だ。この機能はアプリを「エンターテインメント」「ソーシャル」「クリエイティビティ」などのグループに自動分類する。分類ロジックは15MBのJSONファイルをローカルで参照する仕組みで、Microsoftのサーバーへの通信は発生しない。ただし、アプリの識別はパッケージファミリー名に依存しており、対応していないアプリは「その他」に押し込まれてしまう。

ユーザーからは「カテゴリを自分で定義できなければただのゴミ」という率直なフィードバックも寄せられており、Feedback Hubでも上位の要望として挙がっている。「なぜこれが現在の状態で本番投入されたのか理解できない」とまで書かれた投稿があるほどだ。

また、Microsoftはスタートメニューの内部実装をWinUI(Windows UI Library)へ移行する作業も進めており、今後のUI刷新の基盤整備が同時に進んでいることがわかる。

実務への影響

企業のIT管理者やエンジニアにとって、スタートメニューのカスタマイズ性向上は直接的な影響がある。

  • グループポリシー・Intuneとの連携を見据えた準備: カスタマイズオプションが拡張された場合、MDM(Intune)やグループポリシーによる一元管理のスコープも広がる可能性が高い。現時点でスタートメニュー関連のポリシー設定を整理しておくと、展開後の対応が楽になる
  • エンドユーザー教育のコスト低減: カテゴリ機能が使いやすくなればアプリ探しの問い合わせが減る。ヘルプデスクの負荷軽減という実利もある
  • カスタマイズは「ユーザーが困っていないか」から逆算する: Microsoftの新オプションが出た際にすぐ全展開するのではなく、自社ユーザーの実際の行動を確認してから適用範囲を判断したい

筆者の見解

正直なことを言えば、スタートメニューの細部を追い続けることにかつてほどの熱量を感じなくなっている自分がいる。それでもこのニュースに一定の意味があると思うのは、Microsoftが「フィードバックを聞いていた」という事実を公式に認めた点だ。

カテゴリ機能は、設計段階でユーザーの実際の使い方を十分に検証できていなかったように見える。「作ったものを使わせる」ではなく「使い方を観察してから設計する」というプロセスの大切さを改めて感じる。MicrosoftにはWindowsという巨大なユーザーベースがあり、それを活かしたフィードバックループを回せる力が本来はある。今回のような「聞いていた、動いている」という発信をもっと早く、もっと具体的にやっていれば、ここまで反発は大きくならなかったはずだ。

スタートメニューの全面刷新ではなく「現行レイアウトの改善」という方向性は、現実的な判断だと思う。大幅な変更はエンタープライズ環境での混乱を招きやすい。ユーザーが「あ、使いやすくなった」と自然に感じられる程度の変化を積み重ねていく方が、長期的には信頼につながる。Microsoftにはそういう丁寧な仕事ができる力があるのだから、ぜひそれを見せてほしい。


出典: この記事は Microsoft teases new customization features for Windows 11’s Start menu after years of criticism の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。