スマートフォンが「自分でカメラを動かす」時代へ

HONORは2026年2月に開催されたMWC 2026において、「Robot Phone」と称する新コンセプトスマートフォンをはじめ、ヒューマノイドロボット、そして折りたたみ式フラッグシップ「Magic V6」を発表した。HONOR公式の発表資料によると、Robot PhoneはAIビジョン戦略の象徴的な製品として位置づけられており、2026年後半に中国向けで発売予定とされている。

3軸メカニカルジンバル内蔵——ハードウェアで解決するブレ補正

Robot Phoneの最大の特徴は、スマートフォン本体内部に3軸メカニカルジンバルを搭載し、カメラユニット自体を物理的に動かせる点だ。

HONORの発表によれば、主な仕様は以下の通り:

  • メインカメラ:200MP(2億画素)
  • 手ブレ補正方式:3軸メカニカルジンバル(ソフトウェアEISではなく物理的な機構)
  • AIトラッキング:カメラがジンバルで自律的に向きを変え、被写体をフレームに収め続ける

これまでスマートフォンの手ブレ補正はOIS(光学式)やEIS(電子式)が主流だった。物理的なジンバル機構を本体内に組み込み、さらにAIが被写体を認識してカメラを能動的に動かすという発想は、従来のスマートフォンカメラ設計とは一線を画すアプローチと言える。

海外発表内容のポイント

HONOR公式の発表内容を整理すると、Robot Phoneは同社の「AI Vision」戦略の中核に据えられており、単なるカメラ性能の向上ではなく「スマートフォンが自律的に動作する」というコンセプトを体現した製品として訴求されている。

ただし、現時点では独立した第三者メディアによる実機レビューや詳細なベンチマークデータは公開されていない。MWC会場での発表段階であるため、実際の動作品質・ジンバルの動作範囲・バッテリーへの影響などの実用性は、今後の実機レビューを待つ必要がある点は留意したい。

またMWC 2026ではMagic V6(折りたたみ)とヒューマノイドロボットも同時に発表されており、HONORがハードウェア×AIの融合を全製品ラインで推進する姿勢を示した。

日本市場での注目点

HONORは現時点で日本に公式販売チャネルを持っていない。Robot Phoneを日本で入手するには以下の方法に限られる:

  • AliExpress・Expansysなどの並行輸入サービス(中国版の技術基準は日本の電波法認証を受けていない場合が多く、SIMロック・技適問題に注意が必要)
  • グローバル版が発売された場合、Expansys Japan等で扱われる可能性はある

価格については中国向け発売価格すら未発表の段階であり、2026年後半の発売後に判明する見込みだ。

競合という観点では、200MPカメラはXiaomi・vivo・Samsungといった各社が既に投入している領域だが、3軸メカニカルジンバルを本体内蔵する点での直接競合は現時点では見当たらない。外付けジンバルの代替となり得るかどうかが、実機評価の重要なポイントになるだろう。

筆者の見解

スマートフォンのカメラがソフトウェアではなくハードウェア機構で被写体を「追いかける」という発想は、正直なところ興味深い。「AIが何かを判断して外部に作用する」というアーキテクチャとして見ると、AIエージェントが自律的にループで行動し続けるコンセプトと本質的に近い部分がある。

ただし、コンセプトとして面白いことと、実際の製品として使い物になるかは別の話だ。メカニカルジンバルを本体内に収めることによる薄型化・軽量化・耐久性のトレードオフ、そして消費電力への影響は無視できない。スタビライザーとしての性能がDJI OM6のような専用機器に近づけるかどうか、それとも「あくまでスマートフォンなりの補正」に留まるのかが、実機レビューで最も問われる点だろう。

日本市場でこの技術が普及するには、まずHONORの日本進出という大きなハードルがある。当面は「技術的な方向性を示す提案」として参照するのが現実的で、実際に試せる機会は限られる。とはいえ、こうした大胆なハードウェアアプローチが業界全体にどう波及するかという観点では、今後の各社の動向を注視する価値がある。


出典: この記事は HONOR Advances Its AI Vision at MWC 2026 with Robot Phone, Humanoid Robot and Magic V6 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。