米テックメディアTom’s Guideが、中国ミニPC専業メーカーMinisforumの新モデルG1 Proの詳細レビューを公開した。昨年のComputexで初公開されて以来注目を集めていた本機だが、同誌レビュアーが約2カ月間にわたって実機を使い込んだ結果が報告されており、「コンソールキラー」という触れ込みが本物かどうか、その評価に注目が集まっている。
なぜこの製品が注目か
ミニPCの最大の課題は、これまで一貫して「電力制限」だった。どれだけスペックを盛っても、ノートPC向けの省電力チップと外付け電源アダプターで構成される限り、デスクトップやゲーム機には性能で届かなかった。
G1 Proが業界の注目を集める最大の理由は、この常識を覆した点にある。内部に本格的なデスクトップ向け電源ユニットを搭載し、さらにGPUにはNvidia GeForce RTX 5060(8GB、ロープロファイル仕様)を採用。CPUもAMD Ryzen 9 8945HXという高性能ダイを載せており、「ノートPC流用」ではなく「SFF(スモールフォームファクター)PC」として設計されている点が従来のミニPCとは一線を画す。
サイズは約31.5 × 21.6 × 5.7cm、重量は約3.8kgと、外観はPS5に似たホワイトの横置き筐体。電源ブリックが不要なため、リビングのテレビ台やデスク上においても配線がスッキリ収まる。
海外レビューのポイント
Tom’s Guideのレビュアーは「仕事でも遊びでも期待を裏切らなかった」と総括しており、全体評価は高い。具体的な評価ポイントを以下に整理する。
良い点
- 圧倒的なクラス最強クラスのゲーム性能: デスクトップ級RTX 5060搭載により、AAA最新タイトルを高設定で動作させることが可能。同クラスのミニPCをほぼ凌駕するとレビュアーは評価している
- 電源ブリック不要の設計: 内蔵電源はリビング運用での大きなアドバンテージ。テレビやプロジェクターへの接続を想定したユーザーには実用上の差が出やすい
- 拡張性の高さ: RAMは最大96GBまで増設可能(標準32GB DDR5)、ストレージも8TBまで拡張可能なスロットを備える。さらにGPU自体も交換可能という、ミニPCとしては異例の設計
- Wi-Fi 7 + 5GbE: ネットワーク帯域への投資が惜しくない点も評価されており、クリエイティブ用途や大容量データ転送にも対応
気になる点
- ポート数の少なさ: 前面にUSB-A×1、USB-C×1、3.5mmオーディオのみ。後面も含めた合計ポート数は筐体サイズの割に少なく、周辺機器が多い環境ではUSBハブが必須になる
- 高負荷時のファン騒音: 「Beast Mode」(高パフォーマンスモード)で要求度の高いゲームをプレイすると、ファン音が「かなり目立つレベル」になるとレビュアーは指摘。リビングでの静音運用を重視するユーザーには注意が必要
日本市場での注目点
米国での販売価格は1,439ドル(約21万円前後)。Minisforum公式サイトおよびAmazon.comで販売中とのことだが、執筆時点では日本Amazon(Amazon.co.jp)での直接販売は確認されておらず、並行輸入品か公式の日本展開を待つ形になる可能性が高い。
国内競合として挙げられるのはAsus ROG NUCシリーズだが、Tom’s Guideのレビューでは「ROG NUCよりも大幅に安い」と言及されている。GPU交換可能なSFF PCという観点では、自作PC(MicroATX/Mini-ITX)のコンパクトケース構成と比較されることも多い。ただし電源込みで3.8Lに収まる設計は自作では難しく、スペース制約が強いユーザーにとっての優位性は明確だ。
RTX 5060は2025年にリリースされた最新世代GPU。レイトレーシングやDLSS 4対応など最新技術を活用したいゲームタイトルでの恩恵は大きく、今後数年間の陳腐化を防ぐ点でも選択肢として合理的だ。
筆者の見解
「コンソールキラー」という言葉は過去何度も使われては期待を裏切ってきたが、Tom’s GuideのG1 Proレビューを読む限り、今回はその言葉が実態に近い製品が出てきた印象を受ける。デスクトップ電源とデスクトップGPUを小型筐体に収めることは技術的に難しく、以前は外付け電源ブリックやeGPUという妥協策が必要だった。G1 Proはそれを3.8Lに収め、しかもGPUを交換可能にしたという点で、設計思想が一段階進んでいる。
GPU交換可能設計は、長期所有を前提としたユーザーにとって特に重要な要素だ。次世代GPU(RTX 6060相当)が出たときにPC本体をそのまま使い続けられる可能性があるのは、コストパフォーマンスを長期で考えれば大きなアドバンテージになる。「買い替えではなくアップグレード」という選択肢があるのは、サブスクやゲーム課金と並ぶ継続コストを抑える文脈でも評価できる。
一方でポートの少なさとファン騒音は、リビングPCとして常用するには無視できない課題だ。テレビ前に置いてコントローラーとキーボードだけという運用なら問題ないが、モニター複数枚・周辺機器多数という環境では使い勝手に摩擦が生じる。「どこで使うか」を明確にした上で選ぶべき製品と言えるだろう。
約21万円という価格は決して安くないが、ゲーミングノートPCとの比較では「同等以上の性能で、GPU交換が可能」という点で合理的な差別化がある。ゲームも仕事もこなせるコンパクトな1台を探しているユーザーには、真剣に検討に値する選択肢が登場した。
関連製品リンク
Amazon.co.jp: MINISFORUM G1 Pro Gaming Mini PC, AMD Ryzen 9 8945HX, NVIDIA RTX 5060, 32GB DDR5, 1TB SSD, Windows 11 Pro, HDMI2.1 х 2, DP1.4 x 3, RJ45 (5G)х 1 RTL8126

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出典: この記事は I tried the Minisforum G1 Pro and this console-sized mini PC works just as well in the living room as it does at your desk の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。
