米テクノロジーメディアEngadgetが2026年4月17日に報じたところによると、CaselyのMagSafe対応モバイルバッテリー「Power Pods 5,000mAh(型番:E33A)」について、米国消費者製品安全委員会(USCPSC)がリコールを再告知した。初回リコールから1年が経過したにもかかわらず、引き続き被害が報告されており、当該製品を現在も所持している場合は直ちに使用を停止する必要がある。

なぜこの問題が深刻なのか

モバイルバッテリーのリコールはこれまでも度々発生してきたが、今回のケースは被害の規模と深刻さが際立っている。2025年の初回リコール時点で発火・膨張・出火事故が51件報告されていたにもかかわらず、多くのユニットが引き続き使用され続けた。その結果、初回リコール後に28件もの追加事故が発生。リコール対応の限界を露わにした事例といえる。

リチウムイオンバッテリーは適切に設計・製造されれば非常に安全だが、内部の品質管理に問題があると熱暴走(サーマルランナウェイ)を起こすリスクがある。特に「充電中」という状態は発熱を伴うため、欠陥品では発火の引き金になりやすい。

海外報道が伝えるインシデントの実態

EngadgetおよびUSCPSCの報告によると、最も深刻なのは2024年8月に米ニュージャージー州で発生した事故だ。75歳の女性がひざの上でモバイルバッテリーを使用中に発火・爆発し、2度・3度の重篤なやけどを負い、その後の合併症で死亡した。

また2026年には、47歳の女性が航空機内でスマートフォンを充電中に発火・爆発が発生し、1度のやけどを負う事故も起きている。航空機という密閉空間での発火事故は、乗客全員を危険にさらすものであり、事態の深刻さを改めて認識させる。

対象製品の確認方法

対象となるのは以下の条件を満たす製品だ。

  • 製品名:Casely Power Pods 5,000mAh MagSafe対応モバイルバッテリー
  • 型番:E33A(本体背面に記載)
  • 特徴:前面にCaselyのエンボスロゴ
  • 販売期間:2022年〜2024年
  • 販売チャネル:getcasely.com、Amazonなど各種オンライン小売

対処方法:廃棄・交換の手順

USCPSCおよびCaselyが案内している対処方法は以下の通り。

  • 即座に使用を停止する
  • バッテリー本体に油性マジックで「recalled」と記入する
  • 記入した写真と、背面のE33A型番が確認できる写真の2枚を撮影する
  • Caselyに写真を送付し、無償交換を申請する(返金対応については現時点で不明)
  • 廃棄する場合はリチウムイオン電池対応の廃棄施設に問い合わせること

重要:通常のゴミ、資源ごみ、一般的な乾電池回収ボックスには絶対に捨てないこと。発火・爆発のリスクがある。

日本市場での注目点

Casely Power Podsは主に米国向けのブランドであり、日本の正規流通ルートには乗っていない。ただし、AmazonグローバルやeBayなどを通じて個人輸入した場合は、日本国内にも当該製品が存在する可能性がある。

また、型番E33AのモバイルバッテリーはMagSafe対応として2022〜2024年の間に相当数が販売されており、日本のMacユーザー・iPhoneユーザーがガジェット系サービスでまとめ買いするケースも考えられる。

心当たりがある場合は型番を今すぐ確認してほしい。

なお、日本においてリチウムイオン電池の廃棄方法については、各自治体のルールが異なる。多くの市区町村では「小型充電式電池」として分別回収を行っているが、発火リスクが疑われる製品の場合は自治体の環境担当窓口に事前相談することを強く勧める。

筆者の見解

今回の事案は、単なるメーカーの品質問題に留まらない。「一度リコールを告知したのに被害が続いた」という点が、現代の製品安全管理における構造的な問題を示している。

特に懸念されるのは、購入から数年が経過した製品が「まだ使える」という感覚のまま利用され続けるケースだ。MagSafeやQiなどワイヤレス充電対応のモバイルバッテリーは充電中に一定の発熱を伴う。欠陥のある電池セルはその熱が引き金となり、予測できないタイミングで危険な状態に陥る。

Microsoft MVPとして多くの企業・ユーザーのデバイス選定に関わってきた立場から言えば、ガジェット選びにおいて「PSE認証(日本)」「UL認証(米国)」「CE認証(EU)」などの第三者認証の存在は品質担保の最低ラインとして重要だ。低価格帯のノーブランド品だけでなく、今回のように一定のブランド認知を持つ製品でもこうした事故が起きる以上、購入後もリコール情報を定期的にチェックする習慣は全ユーザーに求められる。

USCPSCのリコール情報は公式サイト(cpsc.gov)で検索できる。日本語での確認が難しければ製品名や型番でGoogle検索するだけでも確認できる。使用しているモバイルバッテリーの型番を、今一度確認してみてほしい。


出典: この記事は PSA: Stop using your Casely Power Pods wireless charger immediately の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。