Windows 11の最新Insiderビルド(Dev: 26300.8170 / Beta: 26220.8165)に、地味ながらも実務に直結する2つの改善が同時に入った。ひとつは「ディスクとボリューム」設定画面の表示速度の劇的な改善、もうひとつはFAT32フォーマット上限の32GB撤廃だ。どちらも数十年単位で放置されてきた問題であり、ようやく手が入ったという印象を受ける。
ストレージ設定が「15秒待ち」から「即時表示」へ
「設定 → システム → ストレージ → 詳細なストレージ設定 → ディスクとボリューム」を開いたことがある人なら、あの独特のもたつきに心当たりがあるはずだ。大容量のHDDや複数パーティション構成の環境では、ドライブのプロパティを開くまでに10〜15秒かかることが珍しくなかった。
原因は、モダンな設定アプリがストレージ情報を取得する際に、レガシーの「ディスクの管理」ツールとは異なるデータ取得方式を使っていた点にある。ドライブ容量が大きいほど、UIを描画する前に照会すべきデータ量が増え、待機時間が線形に伸びていた。
今回のビルドでこの処理が見直され、4GB RAM・2コアという非力な仮想マシン上でもプロパティ表示がほぼ即座に完了するようになったことが実測で確認されている。リリースノートの記述は「大容量ボリュームでのストレージ操作のパフォーマンスを改善」と控えめだが、実際の体感差はそれ以上だ。
なお、UACプロンプトの挙動も変更され、設定を開いた瞬間ではなく一時ファイルにアクセスするタイミングでのみ表示されるようになった。細かい変更に見えるが、管理者権限のない一般ユーザーが設定画面を開くたびに不要なプロンプトに遭遇していた状況が改善される。
FAT32の32GB上限、ついにコマンドラインで撤廃
もうひとつの変更は、FAT32ファイルシステムのフォーマット上限が32GBから2TBに拡張されたことだ。コマンドライン(formatコマンド)を通じて利用できる。
FAT32自体は理論上ずっと以前から2TBのボリュームをサポートしていた。にもかかわらずWindowsのGUIおよびコマンドラインツールは32GB上限を長年維持しており、ユーザーはRufusなどのサードパーティツールに頼らざるを得なかった。この制限はWindows 95 OSR2(1996年)の時代に設けられたもので、約30年間ほぼそのままだった。
USBメモリやSDカードをFAT32でフォーマットしたいケースは今も多い。ゲーム機、カーナビ、産業機器など、exFATやNTFSに対応していないデバイスとのデータ交換ではFAT32が現役だ。今後はOSネイティブのツールだけで対応できるようになる。
実務への影響
IT管理者・ヘルプデスク担当者へ:
- ストレージ設定の遅延はエンドユーザーからの「PCが重い」報告の一因になりやすかった。この改善がStable chへ降りてきたタイミングで、関連する問い合わせが減ることを期待したい。
- FAT32の2TB対応により、外部メディアの初期化作業でサードパーティツールへの依存をひとつ減らせる。セキュリティポリシー上、承認外ツールを使いたくない環境では特に歓迎される変更だ。
開発者・エンジニア向け:
- 現時点ではInsiderビルドのみ。Stable chへの降りてくる時期は未確定だが、Dev/Betaに参加している開発環境で先行検証しておく価値はある。
- FAT32フォーマットのスクリプト自動化において、これまでサードパーティバイナリを同梱していた場合はOSネイティブの
formatコマンドへの置き換えを検討できる。
筆者の見解
Windowsのストレージ設定が「15秒待ち」だった問題と、30年前から続くFAT32の人工的な制限——どちらも正直、もっと早く直せたはずの課題だ。モダンな設定UIを整備すると謳うなら、その設定UIが基本操作でこれだけ遅いというのは、本来あってはならない話である。
ただ、今回の修正は確かに正しい方向だと思う。「ディスクの管理」という見た目が化石のようなツールがいまだに現役なのは、そちらの方が速くて信頼できるからだ。モダンUIへ移行するなら、速さも含めて上回ってもらわないと困る。その点で今回の改善は、モダン設定アプリに本腰を入れ始めたシグナルとして受け取っている。
FAT32の件も同様だ。30年間続いた制限を今になって外した背景には、「もう言い訳できない」という状況があるのかもしれない。遅くても直す意思があるなら、それは評価したい。
今後、これらの変更がInsiderからStable chへ展開されるタイミングで、現場のPC管理にも小さくない恩恵が届くはずだ。地味な改善の積み重ねが、Windowsの信頼回復につながっていくことを期待している。
出典: この記事は Tested: Windows 11 just fixed slow storage management and removed a 30-year FAT32 limit の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。