Windows 10のサポート終了(EOL)が2025年10月に完了してから約4か月。StatCounterが公開したデータによると、2026年2月時点でWindows 11のデスクトップシェアは約72.7%に達した。Windows 10は約26.3%まで後退しており、ここ数年で最大のプラットフォーム移行が一気に進んだ形だ。数字だけ見れば「移行はほぼ完了」に映るが、残り約26%の中には対応が間に合っていない中小企業が相当数含まれており、状況は楽観できない。

なぜこれが重要か

EOLを迎えたWindows 10は、現在セキュリティパッチが提供されない状態だ。ただし、Microsoftは有償の「ESU(延長セキュリティアップデート)」プログラムを提供しており、2026年10月13日まで延命できる。この「猶予期間」がまだ残っているため、移行を先送りしている組織も少なくない。

問題は、ESU期限を過ぎた瞬間に「無保護のWindows 10端末」がネットワーク上に残ることだ。セキュリティインシデントの観点から見れば、EOL端末が1台でもあればそこが侵入経路になりうる。「今は動いているから大丈夫」という判断は、セキュリティの文脈では危険な先送りに他ならない。

移行を妨げている現実的な障壁

Windows 11への移行を阻む最大の要因のひとつがハードウェア要件だ。TPM 2.0とCPU世代の制約により、2017年以前に購入した端末の多くは正規のアップグレード対象外となっている。中小企業では「まだ動いているから買い替えない」という端末が多く残りがちで、これがシェア移行の足かせになっている。

また、社内システムの互換性確認に時間がかかっているケースもある。基幹業務システムや独自開発ツールがWindows 11で動作するかの検証を後回しにしているうちに、EOL期限を迎えてしまった組織も見受けられる。

実務での対応ポイント

まず現状把握から始める: Microsoft Intune や Windows Admin Center を使えば、社内端末のOS分布を即座に可視化できる。どの端末がWindows 10のままで、TPM要件を満たしているかどうかを棚卸しするのが第一歩だ。

ESUの活用は「移行準備期間の確保」として使う: ESUは延命のための手段ではなく、移行計画を整えるための「橋渡し」として位置づけるべきだ。ESU期限である2026年10月13日を締め切りとして逆算したプロジェクト計画を立てることを強く勧める。

ハード買い替えが必要な端末はMicrosoft Intuneで一元管理: 新端末を調達するタイミングで、Intuneによるクラウド管理体制への移行もセットで検討したい。手動セットアップのコストを大幅に削減でき、ゼロトラスト構成との親和性も高い。

互換性検証の自動化: Application Compatibility Toolkit や Windows Autopilot を活用し、アプリ検証を手作業に頼らない仕組みを作ることで、スケールアウト時のボトルネックを解消できる。

筆者の見解

正直なところ、2026年の今になってWindows 11の移行率を追うこと自体、少し時代錯誤な感じがある。クライアントOSのバージョンを「いかに早く上げるか」に注力するより、端末管理をいかにクラウドネイティブに変えるか、IDとデバイスをどう統合するかという問いに向き合う方が本質的だ。

ただ、セキュリティの観点は別の話だ。EOL端末をネットワーク上に放置することの危険性は、どれだけ強調しても足りない。特に日本の中小企業は、エンドポイント管理が属人的になっているケースが多く、「気づいたらEOL端末が残っていた」という状況が十分ありうる。72.7%という数字が示す「移行の波」は本物だが、残る26%に対するプレッシャーは今後さらに強まる。

MicrosoftはWindows 11への移行を通じて、TPMベースのセキュアブートやカーネルドライバーの制限強化など、正しい方向の施策を着実に積み上げてきた。この努力は評価したい。ハードウェア要件の厳格化は多くの現場で不満を生んだが、セキュリティ基盤を底上げするには必要なコストだったと、今なら言える。2026年10月のESU期限を前に、まだ動けていない組織はこれを機に腰を上げてほしい。


出典: この記事は Windows 11 Dominates Desktop Share in 2026: ~73% of Windows PCs の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。