SalesforceがSlackを全面AI強化——30の新機能を一挙発表
クラウドソフトウェア大手のSalesforceは、サンフランシスコで開催した少人数向けイベントにおいて、ビジネスチャットツール「Slack」の大規模アップデートを発表した。CEOのマーク・ベニオフ氏が自ら登壇し、AI機能を中心とした30の新機能を披露。Slackを単なるコミュニケーションツールから、企業の業務プロセスを一手に担う「AIエージェント基盤」へと位置づけ直す狙いが鮮明になった。
再利用可能な「AIスキル」が業務を自動化
今回の発表で最も注目を集めたのが、**再利用可能なAIスキル(Reusable AI-Skills)**だ。ユーザーがSlackbotに対して特定のタスクをあらかじめ定義しておくことで、さまざまな場面で繰り返し呼び出せるようになる。
たとえば「イベントの予算を作成して」とSlack上でコマンドを入力するだけで、Slackbotが関連するチャンネルや連携アプリのデータを自動的に収集・整理し、実行可能なプランを生成。さらに、職種をもとに関係する社員を自動で特定してミーティングを設定するところまでを一気に処理する。
SalesforceによればSlackbotには標準のスキルライブラリが組み込まれており、ユーザーが独自のカスタムスキルを作成することも可能だ。繰り返し発生する定型業務の大幅な効率化が期待される。
MCPクライアント対応でエンタープライズ全体と連携
Slackbotは今回のアップデートでMCP(Model Context Protocol)クライアントとしての機能も備えた。MCPは外部サービスやツールとAIエージェントをつなぐプロトコルで、近年さまざまなAIプラットフォームが採用を進めている。
この対応により、Slackbotは2024年にSalesforceが立ち上げたAIエージェント開発プラットフォーム「Agentforce」とも連携可能になった。社内のあらゆるエージェントやアプリへ作業を振り分け、人手を介さずに最適な処理ルートを自律的に判断するという。
会議の文字起こし・要約、デスクトップ監視も
Slack暫定CEOのロブ・シーマン氏によれば、Slackbotはミーティングのリアルタイム文字起こしと要約にも対応。途中で集中が途切れてしまった参加者も、Slackbotに「自分のアクションアイテムをまとめて」と依頼するだけで必要な情報をすぐに確認できる。
さらに、Slackの外部でユーザーのデスクトップ操作を監視し、商談・会話・カレンダー・行動パターンなどを分析した上で、次の行動を提案したりフォローアップのメッセージを自動起草したりする機能も追加される。プライバシー保護の仕組みも内包されており、ユーザーが権限設定を細かく調整できるとしている。
「Slack買収から5年」——AIで再定義を狙う
SalesforceがSlackを277億ドルで買収したのは2021年のこと。ベニオフCEOは今回の基調講演で、その5年間を振り返りながら「Slackを企業の中核業務に欠かせないプラットフォームにする」という意気込みを示した。
日本企業にとっても、Slackはすでに多くの開発・IT部門で利用されている馴染み深いツールだ。今回のAI強化によって、チャットの枠を超えた業務自動化の基盤として活用できるかどうか——実際の使い勝手が問われることになる。新機能は今後数ヶ月以内に順次提供される予定だ。
元記事: Salesforce announces an AI-heavy makeover for Slack, with 30 new features