ボットがインターネットの主役に——2025年に人間トラフィックを初めて超過
インターネットの歴史的な転換点が訪れた。サイバーセキュリティ企業Human Securityが発表した「State of AI Traffic」レポートによると、2025年にAIおよびボットによる自動化トラフィックが、初めて人間ユーザーのアクティビティを上回ったことが明らかになった。
自動化トラフィックは人間の8倍速で成長
同レポートによれば、自動化トラフィック(AIを含むソフトウェアシステムが生成するインターネット通信)は、2025年に人間の活動と比較して約8倍速いペースで成長した。AIトラフィック全体は2025年1月から12月の間に187%増加しており、OpenAIの「ChatGPT」、Anthropicの「Claude」、Googleの「Gemini」といった大規模言語モデル(LLM)の急速な普及がその主な要因とされている。
Human SecurityのCEO、スチュアート・ソロモン氏はCNBCに対して「インターネットは『画面の向こう側には人間がいる』という基本的な前提のもとに作られてきた。しかしその前提が今、急速に崩れつつある」と語った。
AIエージェントのトラフィックは8,000%増
特筆すべきは、人間に代わって自律的に行動するAIエージェントの台頭だ。「OpenClaw」のようなAIエージェントによるトラフィックは、2024年と比較して2025年に約8,000%もの爆発的な増加を記録した。2024年時点ではそのボリュームは極めて小さかったが、わずか1年でこれほどの急成長を遂げたことは業界に衝撃を与えている。
なお、自動化トラフィックにはGoogleのAI概要(AI Overview)やオートフィルといった一般的な機能も含まれており、必ずしも悪意あるものではない点に注意が必要だ。ソロモン氏は「『機械は悪、人間は善』という考え方は現実的ではない。機械が私たちの代わりに行動する世界を前提に、時間をかけて信頼の仕組みを構築していく必要がある」と述べている。
計測手法の課題も
一方で、このデータの解釈には注意も必要だ。インディアナ大学情報・コンピュータ科学部のフィリッポ・メンツェル教授はCNBCに対し、「ボットトラフィックの推計はユーザーエージェント文字列を使う方法が一般的だが、非常にノイズが多い。データの取得元やサンプルによって結果が大きく変わる」と指摘する。Human Securityのレポート自体も、自己申告に基づくユーザーエージェント文字列の信頼性が「懸念される課題」であると認めている。
同レポートはHuman Securityの自社製品「Human Defense Platform」で処理された1,000兆件(1クアドリリオン)以上のインタラクションをもとにしたものであり、インターネット全体を網羅するものではない。
日本への影響と今後の展望
この傾向は日本のWebサービス運営者にとっても無関係ではない。Webサイトへのアクセス解析やコンテンツ保護、広告効果測定などあらゆる場面で、AIボットをどう扱うかが課題になりつつある。
なお、CDN大手CloudflareのCEO、マシュー・プリンス氏はSXSW 2026で「生成AI登場以前、インターネットトラフィックの約20%はボットが占めていた」と述べており、当初はGoogleのクローラーが大半を占めていたと語った。プリンス氏は「AIボットが人間トラフィックを超えるのは2027年になるだろう」と予測していたが、現実はその予測を1年以上前倒しで追い越してしまった形だ。
インターネットの基本的な前提が書き換えられようとしている今、AIとの共存を見据えた新しい信頼の枠組み構築が急務となっている。
元記事: AI and bots have officially taken over the internet, report finds