AIが2Dイラストを3Dで動かす——「Project Turntable」正式リリース
Adobeは、Adobe Illustratorに搭載されるAI機能「Project Turntable」の一般提供開始を発表した。数ヶ月にわたるベータ期間を経て、ついく正式版としてリリースされた形だ。
Project Turntableとは
Project Turntableは、2Dベクターグラフィックを3D空間で回転させるという、従来のIllustratorでは難しかった操作をAIの力で実現する機能だ。
通常、Illustratorで扱うベクターデータは2次元の平面上に存在する。これを3Dで回転させようとすると、単純な変形では形が崩れたり、遠近感が不自然になったりしてしまう。Project Turntableは生成AIを活用することで、2Dパスの構造を維持しながら、奥行きのある3D回転を自然に再現する。
たとえば、正面向きのキャラクターイラストや製品のロゴを描いた後、それを斜め向きや横向きに回転させたい場合に威力を発揮する。3Dモデリングソフトを使わずとも、Illustratorの中だけで立体的な視点変換が完結するのだ。
デザインワークフローへの影響
日本のデザイン現場でも、IllustratorはWebデザイン・ロゴ制作・パッケージデザインなど幅広い用途で使われている。従来、3Dパースが必要な場合はBlenderや Cinema 4DといったDCCツール(デジタルコンテンツクリエーションツール)を別途使うか、手動でパスを描き直す必要があった。
Project Turntableがこの作業を自動化することで、デザイナーの工数削減と表現の幅の拡大が期待される。特に、製品カタログやゲームのUI素材など、同一オブジェクトを複数の角度から見せる必要があるケースで恩恵が大きいだろう。
AdobeのAI戦略「Firefly」との連携
Project TurntableはAdobeが推進する生成AI基盤「Adobe Firefly」のエコシステムの一部として位置づけられている。AdobeはPhotoshopの「生成塗りつぶし」やAcrobatのAI要約など、Creative Cloudの各アプリにFireflyベースの機能を積極的に統合しており、Illustratorもその流れを受けた形だ。
なお、Adobe Fireflyは著作権的にクリーンな学習データを使用していることをAdobeが明示しており、商用利用においても安心して使える点も訴求ポイントのひとつとなっている。
まとめ
Project Turntableの正式リリースにより、Illustratorはベクターグラフィックツールとしての枠を超え、2D・3Dをシームレスにつなぐデザインツールとしての可能性を広げた。Adobe Creative Cloudサブスクライバーは、最新版のIllustratorからこの機能を試すことができる。
元記事: Adobe Illustrator can now use AI to rotate 2D vectors in 3D space