AppleのAI戦略が大きく方向転換——自社開発縮小、App Store収益化にシフト

AppleがAIに関する野心的な自社開発計画を大幅に縮小し、従来の強みであるハードウェア販売と、App Storeを通じた競合他社のAIアプリからの収益獲得という現実路線に転換しつつあると、複数の報告が示している。

Apple Intelligenceの苦戦が背景に

Appleは2024年にWWDCで「Apple Intelligence」を発表し、Siriの大幅強化やオンデバイスAI処理を看板機能として打ち出した。しかし実際には、期待されていた機能の多くがリリース遅延を繰り返し、競合のGoogleやMicrosoftが提供するAI体験と比べて見劣りするとの批判が続いていた。

ChatGPTやGeminiといったサービスが急速に普及するなか、Appleの独自AI技術は差別化要因としての力を発揮できていないのが現状だ。

「作るより売る」プラットフォーム戦略

注目すべきは、Appleが競合他社のAIアプリをApp Storeで積極的に展開させることで、手数料収益を得ようとしているという点だ。OpenAIのChatGPT、Google Gemini、Anthropic ClaudeなどのアプリはすでにiOSで利用可能であり、これらのアプリの課金売上の最大30%がAppleに入る仕組みになっている。

つまり、AI開発競争でトップに立てなくても、iPhoneとApp Storeというエコシステムを握っている限り、他社のAIサービスが成長するほどAppleも潤う構図だ。この戦略はAppleらしいともいえる——「土管にはなりたくないが、土管のオーナーにはなれる」という発想だ。

ハードウェアが依然として核心

Appleの売上の大半はiPhone、Mac、iPad、Apple Watchなどのハードウェアから生み出されている。AI機能はあくまでハードウェアの付加価値として位置づけ、無理にAI企業としての地位を確立しようとするよりも、既存のビジネスモデルを堅守する判断は、株主目線では合理的ともいえる。

日本市場への影響

日本においてもiPhoneのシェアは依然として高く、App Store経由のAIサービス利用者も多い。Apple Intelligenceの日本語対応は現時点でも限定的であり、Appleが自社AI開発に注力しない方針を強めるとすれば、日本語ユーザーにとってはむしろサードパーティのAIアプリとの連携強化に期待が集まる展開になりそうだ。

今後のWWDCや製品発表で、AppleがAI戦略についてどのようなメッセージを打ち出すかが注目される。


元記事: Report: Apple scales back its AI ambitions and sticks to selling hardware