DeepSeek V4、マルチモーダル対応で近日公開へ

中国のAIスタートアップ DeepSeek(深度求索)が、次世代大規模言語モデル「V4」のリリースを間近に控えていることが、フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道で明らかになった(2026年2月27日付)。

テキスト・画像・動画を統合するマルチモーダルモデル

FTが入手した複数の情報筋によると、V4はテキスト生成にとどまらず、画像・動画の生成・理解も可能なマルチモーダルモデルとして設計されている。注目すべきは、中国の半導体メーカーである**Huawei(華為)Cambricon(寒武紀)**の最新チップ向けに最適化が施されている点だ。米国の輸出規制によりNVIDIA製GPUの入手が制限される中、国産チップとの協業は中国AI産業の自立化戦略の一環とも読める。

リリース時期は、中国の年次重要政治行事である**「両会」(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)**の開幕(3月4日)に合わせて設定されたとされる。DeepSeekを「国家AIの旗手」として位置づける政治的な演出とも見られており、中国政府のAI振興戦略と密接に絡み合っている。

V3が起こした「AIスプートニク・ショック」

DeepSeekが世界的に注目を集めたのは、2025年1月に公開した推論モデルR1がきっかけだ。米国トップモデルに匹敵する性能を、はるかに少ない計算コストで実現したとして、シリコンバレーに衝撃を与えた。その影響はSAP社のコンサルタントが「1957年のスプートニク打ち上げに相当する」と評するほどだった。

その後DeepSeekは大型モデルのリリースを控え、段階的なアップデートにとどめていた。その間にAlibaba(阿里巴巴)などの中国競合他社が低コスト・オープンソースAIの需要を取り込んでいたとFTは指摘している。

オープンソース公開の可否も焦点

V4がオープンソースとして公開されるかどうかは現時点では不明だが、前モデルの公開戦略が世界中の開発者コミュニティで高い評価を得たことを踏まえると、引き続き注目される。日本国内でも、DeepSeekのモデルをオンプレミスや自社クラウドで動かす企業・研究機関が増えており、V4の動向は国内AI開発者にとっても無視できない情報だ。

Andrew Ng「AGIはまだ数十年先」

これとは別に、AI研究の第一人者であるAndrew Ng氏(DeepLearning.AI創設者、元Google Brain設立者)は先週、「人間と同等の知的能力を持つAGI(汎用人工知能)の実現には、まだ数十年かかる」と述べた。同氏は「トラックの運転を学ぶ、博士論文を書くといった人間並みの知的作業」をAGIの定義とした上で、「近づいてはいるが、まだ非常に遠い」との見解を示している。DeepSeekのような効率化の進展があっても、AGIへの道のりはまだ長いということだろう。

V4の正式発表がいつになるか、またどのようなライセンスで提供されるかについては、続報を待ちたい。


元記事: DeepSeek Poised to Unveil Latest AI Model — V4 imminent