サックス氏、ホワイトハウスAI・暗号資産顧問を退任

トランプ政権のAIおよび暗号資産担当特別顧問として知られるベンチャーキャピタリストのデイビッド・サックス氏が、特別政府職員(SGE: Special Government Employee)としての立場を終えたことを明らかにした。Bloomberg Televisionのインタビューの中で、SGEとして認められる最大130日間の勤務上限を消化したと説明した。

「AI・暗号資産皇帝」の終わりと次のステップ

サックス氏は今後、**大統領科学技術諮問委員会(PCAST: President’s Council of Advisors on Science and Technology)**の共同議長を務める予定だ。同委員会には今週、マーク・ザッカーバーグ(Meta CEO)、マーク・アンドリーセン(著名VC)、ジェンスン・ファン(NVIDIA CEO)、セルゲイ・ブリン(Googleの共同創業者)といったテック業界の重鎮たちが新たに任命された。

「PCAST共同議長として、AIだけでなくより幅広いテクノロジー分野について大統領や行政府に提言できる」とサックス氏はコメント。ただし、この役割は連邦機関との調整ではなく、あくまで「大統領への助言」にとどまるという。

在任中の実績と政治的失策

サックス氏は2024年にトランプ陣営のシリコンバレー向け資金調達イベントを主催したことで知られ、就任後は攻撃的なAI政策の立案に深く関与してきた。一方で、その手法は批判も呼んだ。

最大の政治的失敗とされるのが、州レベルのAI規制を一括禁止しようとした試みだ。議会提出と大統領令の両面から進めたこの政策は、共和党の州知事やMAGAポピュリスト層からも反発を招き、子供の安全に関する法案など他の政策的勝利まで「毒」にしてしまったと批判されている。

保守系シンクタンク「Institute for Family Studies」のマイケル・トスカノ事務局長はThe Vergeの取材に対し、「彼は先制権(連邦優越)の獲得に失敗し、政権を自らの有権者との文化戦争に引きずり込んだ。彼は政治的な災厄だった」と厳しく評した。

大統領批判が引き金か

退任の直接的な引き金となったとみられるのが、先週のポッドキャスト「All In」での発言だ。サックス氏はトランプ大統領がイランとの対立において「出口戦略を見つける必要がある」と公に批判した。トランプ政権は以前から、問題となった幹部を解任するのではなく「格下げ」する形で処遇してきており、今回もその文脈に沿った人事とみられる。

日本への示唆

サックス氏の退任は、米国のAI政策の方向性に影響を与える可能性がある。日本政府もAI規制の国際協調を模索する中、ホワイトハウスの政策立案体制の変化は引き続き注視が必要だ。PCASTがサックス氏の新たな影響力の場となるのか、それとも実質的な権限は限定されるのか——今後の動向が注目される。


元記事: David Sacks is no longer the White House AI and Crypto Czar