AIによる「バイブポーティング」でJSONataをGoに移植、年間コストを大幅削減

クラウドセキュリティ企業のRecoは、JSONクエリ言語「JSONata」のGo実装をAIの支援によってわずか7時間で構築し、年間50万ドル(約7,500万円)のコスト削減を達成したと発表した。

JSONataとは

JSONataは、JSONデータに対してjqに似たクエリや変換を行うための式言語で、ローコード/ノーコードツールとして有名なNode-REDとの連携でも広く知られている。Recoはこれまでサードパーティのnode.js製JSONata実装に依存していたが、パフォーマンスとインフラコストの問題から独自のGo実装への移行を検討していた。

「バイブポーティング」という手法

Simon Willisonのブログでも取り上げられたこのプロジェクトは、近年注目を集める**「バイブポーティング(vibe porting)」**の好例だ。バイブポーティングとは、AIを活用して既存のコードベースを別の言語やプラットフォームへ移植する手法で、従来は数週間〜数ヶ月かかる作業を大幅に短縮できる点が特徴。

今回の成功を支えた最大の要因は、JSONataが充実したテストスイートを持っていたことだ。AIが生成したGoのコードが正しく動作しているかどうかを、既存のテストケース群で即座に検証できたため、反復的な改善サイクルを高速で回すことができた。

開発の流れ

  • AIによるコード生成:LLMを使ってJSONataの仕様をGoで実装。費用は**約400ドル(約6万円)**のトークン消費
  • テストによる検証:既存テストスイートを活用し、動作の正確性を継続的に確認
  • シャドウデプロイ:本番環境で旧実装(Node.js版)と新実装(Go版)を1週間並行稼働させ、出力結果が完全に一致することを確認
  • 本番切り替え:検証完了後、Go実装へ完全移行

コスト削減の背景

Node.js環境の維持・運用コストとGo製バイナリの実行コストの差が積み重なり、年間50万ドル規模の削減を実現。Willisonは「やや誇張気味なフレーミング」と指摘しつつも、AIを活用したポーティングの有力な事例として評価している。

日本への示唆

日本でも多くの企業がNode-REDやJSONataを活用したシステムを運用している。本事例は「既存のテストがあれば、AIによる言語移植は現実的な選択肢になり得る」ことを示しており、レガシーシステムのモダナイゼーションや技術的負債の解消においても参考になるアプローチだ。

短期間・低コストで成果を出した今回の取り組みは、AIを「コード補完ツール」としてではなく、エンジニアリングの加速装置として活用した実践例として注目に値する。


元記事: We Rewrote JSONata with AI in a Day, Saved $500K/Year