Azure AI Foundryが大規模アップデート——エンタープライズAI基盤が次のステージへ

Microsoftは、エンタープライズ向けAIアプリケーションの設計・カスタマイズ・管理を一元化するプラットフォーム「Azure AI Foundry」に対し、大規模なアップデートを発表した。新モデルの追加、ファインチューニング・蒸留技術の強化、エージェント向け新ツールの提供開始が柱となっており、AIの実験段階から実業務への展開を加速させることが目的だ。

GPT-4.5、Azure OpenAI Serviceでプレビュー提供開始

今回の目玉の一つが、GPT-4.5のAzure OpenAI Serviceへのプレビュー追加だ。GPT-4.5はスケーリングと教師なし学習技術の進化を示すモデルで、以下の点でGPT-4oを大きく上回る。

  • ハルシネーション率の低下: 61.8%(GPT-4o)→ 37.1%(GPT-4.5)
  • 正確性の向上: 38.2%(GPT-4o)→ 62.5%(GPT-4.5)
  • 自然な対話体験: より高い「EQ」(感情的知性)により、コーディング・文章作成・問題解決をより効果的にサポート

エンタープライズ向けに即日提供が開始されており、GitHub Copilot EnterpriseユーザーもGitHub Copilot Chat経由で利用可能となっている。業務メール作成からプロジェクト管理、複雑なワークフロー自動化まで幅広い用途に対応する。

Phiシリーズ・Stability AIモデルも続々展開

Microsoftが開発するコンパクトモデル「Phi」シリーズも新世代モデルを投入した。

  • Phi-4-multimodal: テキスト・音声・視覚を統合したマルチモーダルモデル。小売店舗のキオスク端末がカメラと音声入力で商品トラブルを診断するといったユースケースが想定される。
  • Phi-4-mini: 38億パラメータながら128Kトークンのコンテキストウィンドウを持ち、コーディング・数学タスクで大規模モデルを凌駕。推論速度は旧世代比30%向上。

また、画像生成AIで知られるStability AIのモデル群も統合された。Stable Diffusion 3.5 Largeはマーケティング素材の高品質生成、Stable Image Ultraはプロダクト画像のフォトリアリスティックな生成を可能にする。

NVIDIA NIM・AgentIQとの統合でエンタープライズAI最適化が加速

今回のアップデートで特に注目されるのが、NVIDIA NIMマイクロサービスおよびAgentIQツールキットとの統合だ。これにより、AIワークロードの推論効率をハードウェアレベルで最適化する選択肢が広がった。さらに、NVIDIA Nemotronモデルのサポートも発表されており、産業向けAIアプリケーションの選択肢が一層充実する。

ファインチューニング手法の拡充——RFTとSFTの新オプション

カスタマイズ面では、o4-miniを使ったReinforcement Fine-Tuning(RFT)が利用可能になったほか、GPT-4.1-nanoおよびLlama 4 Scoutを使ったSFT(教師あり微調整)も追加された。RFTは報酬信号を使ってモデルの推論能力を特定タスクに最適化する手法で、法律文書分析や金融レポート生成など、精度が求められる業務ユースケースへの活用が期待される。

まとめ——エンタープライズAI基盤としての競争力を強化

今回の一連のアップデートは、AzureをAI本番運用のエンタープライズ基盤として選ばせるためのMicrosoftの本気度を示している。GPT-4.5の精度向上、小型・高効率なPhiシリーズ、NVIDIAとの深い統合、多様なファインチューニング手法——これらが揃うことで、企業はユースケースに応じたAI戦略を柔軟に設計できるようになる。日本企業にとっても、Azureを基盤に据えたAI導入の選択肢が大幅に広がったといえるだろう。


元記事: Announcing new models, customization tools, and enterprise agent upgrades in Azure AI Foundry