Armが数十年の歴史で初の自社製CPU——MetaのAIデータセンターへ今年導入
英国の半導体設計企業Armが、同社史上初となる自社製CPU「Arm AGI CPU」を発表した。これまでArmは自社のチップ設計をライセンスとして他社に提供するビジネスモデルを中心に成長してきたが、今回は自社でチップを製造・販売するという大きな方向転換となる。
AIインフェレンス向けに特化した設計
Arm AGI CPUは、AIエージェントなどのクラウド処理——いわゆるインフェレンス(推論処理)——に特化して設計されている。最大の特徴は1CPUあたり最大136コアを搭載でき、空冷サーバーラック1台に64基のCPUを搭載できる点だ。
Armによると、従来のx86 CPUと比較してワットあたりの性能が2倍となり、メモリボトルネックの軽減にも優れているという。ベースとなるプラットフォームはAWS Graviton、Nvidia Vera、Microsoft向けなどですでに実績のある「Neoverseプラットフォーム」を採用している。
Metaが筆頭パートナー兼共同開発者に
最初の顧客はMetaだ。Metaは「筆頭パートナー兼共同開発者」として、Armとデータセンター向けCPUの複数世代にわたる開発を進めると表明した。MetaはNvidiaやAMDなどのハードウェアと組み合わせてこのCPUを活用する計画を持つ。
Metaはこれまで独自のAIチップ開発に苦戦してきたと報じられており、Armとの協業は同社のAIインフラ強化の重要な一手となりそうだ。
有力企業から相次ぐ支持表明
今回の発表に合わせて、Amazon AWS、Microsoft、Google、Marvell、Nvidia、Samsungなど名だたる企業が祝辞を寄せた。一方、昨秋のライセンス契約をめぐる訴訟でArmとの法廷闘争に「完全勝利」を宣言したQualcommはリストに含まれていない。
また、Cerebras、Cloudflare、F5、OpenAI、SK Telecomなども導入予定企業として名を連ねている。ArmのクラウドAI部門責任者Mohamed Awad氏はCNBCの取材に対し、「自社プロセッサを自前で開発できない企業向けの有力な選択肢になることを目指している」と語っている。
SoftBank傘下のArmが迎える新時代
現在SoftBankが所有するArmにとって、今回の自社CPUビジネスへの参入はビジネスモデルの大きな転換点だ。契約の金額的条件や、Metaが調達するチップ数については非公開とされている。
x86(Intel・AMD)優位が続いてきたデータセンター市場において、省電力性能に優れたArmアーキテクチャのCPUが本格参入することで、AIインフラの競争構図はさらに激しくなりそうだ。
元記事: Arm’s first CPU ever will plug into Meta’s AI datacenters later this year