FCC、外国製ルーターを安保リスクとして全面禁止

米連邦通信委員会(FCC: Federal Communications Commission)は、国外で製造されたすべての消費者向けルーターを「Covered List(規制対象リスト)」に追加し、新モデルの米国内販売を禁止すると発表した。

Covered Listとは何か

Covered Listは、2019年に制定された「安全・信頼できる通信ネットワーク法(Secure and Trusted Communications Networks Act)」に基づいてFCCが管理するリストで、国家安全保障や国民の安全に容認できないリスクをもたらすと判断された通信機器・サービスが登録される。

これまでは特定企業・製品が対象で、カスペルスキー(Kaspersky)、華為技術(Huawei)、中興通訊(ZTE)、ハイクビジョン(Hikvision)、大華技術(Dahua)といった名前が並んでいた。今回の改定では「外国製ルーター全般」へと対象を大幅に拡大した形だ。

背景——中国系ハッカーグループによる攻撃

この決定の直接的なきっかけは、2026年3月20日に米政府の省庁間機関が発出した「国家安全保障判断(National Security Determination)」だ。同判断では、外国製ルーターがサプライチェーン上のリスクを内包しており、「米国経済・重要インフラ・国防を混乱させうる」と結論づけた。

FCCは、中国系サイバー攻撃グループとされる「Volt Typhoon」「Flax Typhoon」「Salt Typhoon」が外国製ルーターを悪用して米国の重要インフラを標的とした攻撃を実行したことを、規制強化の根拠として明示している。これらのグループは近年、米国の通信・エネルギー・水道インフラへの侵入が確認されており、米政府は警戒を強めていた。

承認の代替ルートも用意

一律禁止といっても、抜け道はある。外国メーカーも以下の情報を透明性をもって開示すれば、米国市場への参入申請が認められる。

  • 企業・所有構造(外国政府からの資金援助・影響関係を含む)
  • 製造・サプライチェーンの詳細(部品表、原産国、ソフトウェア・ファームウェアの出所など)
  • 米国内製造への移行計画

ただし、FCCの認証プロセスは通常でも数ヵ月を要する。コストや「米国内製造の移行要件」を負担に感じたメーカーが米市場から撤退するケースも想定され、消費者にとっては選択肢の減少や価格上昇が懸念される。

一般消費者への影響は「当面なし」

現時点では、すでに流通している既存のルーターは引き続き販売・使用が可能だ。ドローンシステム(UAS: Unmanned Aircraft Systems)向けのソフトウェア・ファームウェアアップデートも、少なくとも2027年1月1日まで許可される。

米国防省(DoW)および国土安全保障省(DHS)のドローンシステムに使用される一部ルーターについては、セキュリティリスクなしと判断され条件付き承認が維持されている。

日本への影響

日本の大手ルーターメーカーであるバッファロー(Buffalo)やNECプラットフォームズなども、米市場への展開において今後この規制の影響を受ける可能性がある。また、台湾のASUS・TP-Linkなど現在シェアを持つブランドも対応を迫られる見通しだ。規制の行方は日本の通信機器メーカーにとっても無視できない動向となっている。


元記事: FCC bans new routers made outside the USA over security risks